42 ページ42
***
慧「Aが怖いの苦手とか知らなかったんだもん。」
「意外ですか…」
慧「うん。めちゃくちゃ意外。」
.
ですよね…
私は先輩にバレないように
小さくため息をつく。
.
強がりで負けず嫌い。
そして、あたりが強いせいか、いつの間にか
“そういう”イメージがついてしまった。
だから、頑張って隠してたのに…
.
慧「でも、そういうギャップがあっていいじゃん。」
「は…」
.
噛んで含ませるような、優しい囁き。
思わずゴロンと寝返りを打つと
暗闇の中、先輩と目が合った気がした。
.
慧「いのおは、そういうAが
可愛いと思いますよ。」
.
そっと頬をなで上げてくる、
先輩の長い指先。
くすぐったくて身をよじらせると、
ふは、って声が聞こえてきた。
.
慧「赤ちゃんみてぇ。」
「…あまり触らないでください。」
慧「え、やだ。」
「もう…」
.
こういうときの先輩は変に頑固だ。
今まで言うことを聞いてくれた試しがない。
私は諦めて、力をフッと抜く。
そうしたら、目を覆うようにそっと撫でられた。
.
慧「怖くて眠れなかったんでしょ?
今からいのおせんぱいがいるから、安心して寝なさい。」
「なんですかそれ…」
慧「いのお論ッス。」
「へん、なの……」
.
おかしなことを言ってるのに
何故かその声のトーンが心を落ち着かせて。
その言葉が、何故か心を安心させてくれる。
.
狭くて、窮屈で、暑いハズなのに、
居心地が良くて少しずつ意識が遠のいていくがわかる。
.
慧「おやすみ、A。」
.
そう言って、もう一度頭を撫でられて…
怖くて眠れなかったのに、
うとうとと、私は引き込まれるように眠りについた。
.
慧「……こうなりたくて、
俺がAの苦手を知っていて…
わざと映画を見せたって言ったら、
Aは怒る?」
.
だから、そんな伊野尾先輩の小さな呟きは
聞こえていなかった。
***
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 387人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まりも(プロフ) - ふるどけいさん» わわ、そう言ってくださり嬉しいです(///ω///)はい、卒論頑張ってきます! (2019年9月4日 21時) (
レス) id: aaad2f0c31 (このIDを非表示/違反報告)
ふるどけい(プロフ) - 伊野尾先輩のアンニュイな感じが伝わってきていつもきゅんきゅんさせられています(´艸｀*)就活の次は卒論で大変だと思いますが、頑張ってください! (2019年8月26日 23時) (レス) id: 8d66199de5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まりも
| 作成日時：2019年4月28日 23時
