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「うぅ…」
.
小さな畳の部屋に
掛け布団がポツンと一つ。
暗闇のなか、壁の染みが目に入り、
見慣れてるはずなのにどこか不気味で
ポフリと頭から布団を被った。
.
目を瞑れば、さっきの不気味な女が脳裏に映り
卑劣な叫び声が耳にこびりついて離れない。
どうしよう…
怖くて眠れない…
じわり、と目頭が熱くなって
慌てて目を枕に擦り付ける。
.
時計を見れば0時を回ったところ。
少し離れたところにある布団をぼーっと見つめる。
いつもなら確かにそこにある先輩の存在が
まだいない。
いつもなら、もう寝てる時間なのに
なんで今夜に限って…
.
慧「ふわぁあ…」
.
しばらくして、注意深く物音を立てないようにして、
先輩が部屋に入ってきた。
二つ並べて敷かれている布団のうち、
無人の方に潜り込む気配。
私は自然を装って、先輩に背を向ける格好で
寝返りを打った。
だけど……
.
慧「よい、しょ…」
「…っ!」
.
10秒も経たないうちに、先輩は静かに布団から出ると、
今度は私の眠っている方へと体を滑り込ませて来た。
.
慧「…A。」
.
寝てるフリをしているのに
返事を期待しているような呟き。
私の顔を覗き込んでいるのが、
空気で伝わってくる。
顔にかかった髪の毛を優しくかき上げられて、
私はついパチリと目を開いてしまった。
.
「せんぱい…」
慧「あ、やっぱり起きてた。」
.
クスクス笑い、無理やり脚を絡ませてくる。
先輩は私の顔をジーと見て
きゅ、と瞼を擦りあげた。
.
慧「泣いてた?」
「べ、つに…」
慧「涙の跡があるけど。」
「…っ、誰のせいだと思ってるんですか。」
慧「くくっ…俺のせい?」
「当たり前です!」
.
夜中にも関わらず、大きな声を
先輩に向かって盛大にぶつけてしまう。
ついでに顔を背ける、
子どもみたいな私。
.
慧「もー、怒らないでよ。」
.
だけど、先輩は笑みを滲ませた声で、
静かに語りかけてきた。
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まりも(プロフ) - ふるどけいさん» わわ、そう言ってくださり嬉しいです(///ω///)はい、卒論頑張ってきます! (2019年9月4日 21時) (レス) id: aaad2f0c31 (このIDを非表示/違反報告)
ふるどけい(プロフ) - 伊野尾先輩のアンニュイな感じが伝わってきていつもきゅんきゅんさせられています(´艸`*)就活の次は卒論で大変だと思いますが、頑張ってください! (2019年8月26日 23時) (レス) id: 8d66199de5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まりも | 作成日時:2019年4月28日 23時