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「本当なんですか?」
慧「ほんとほんと。」
.
呆れて溜息を付く私に、
先輩は吐息が触れそうなほど顔を寄せてくる。
ち、近い…!
.
慧「昨日家に帰ったら、アパートが放火で焼けちゃっててさ…
家がないのよ。」
.
だから家が見つかるまで泊めて?
首をコテンとしてお願いする先輩はあざとい。
あざといけど…可愛い。
……じゃなくて!
.
「そ、それなら尚更、私じゃなくても
他に泊めてくれる人は沢山いますよね!?」
.
適当な先輩だけど、この容姿で
女の子にモテまくってるハズだ。
だからそういう事は、もっと暇と美貌を持て余してる
他の女の子たちにお願いして頂きたい。
.
「私、正直今忙しいですし、
先輩を泊める余裕なんてありません。
すみませんが、他を当たってくれませんか。」
.
できるだけ冷淡な声を出したつもりだった。
ダメ押しとばかりに紡いだ私の言葉に、
先輩は一瞬だけ口を噤み。
それから目尻を下げ、私と視線を合わせたまま
ゆっくりと口を開いた。
.
慧「それは無理だぁ。」
「…はい?」
慧「だって、俺、Aがいいもん。」
「はぁ?」
.
もんって、なによ、“もん”って。
男のくせに、そんな可愛いこと言って、
時たま見せるギャップは本当に心臓に悪い。
.
慧「そんな重く考えないで、
野良猫を拾ったと思えばいいじゃん。」
「野良猫って…」
.
確かに、マイペース過ぎる先輩は猫みたいだけど、
どこをどう拡大解釈しても、猫だなんて到底思えない。
だけど…
.
「はぁ……なら。」
慧「あ?」
「家が見つかるまでなら…いいですよ。」
慧「え、マジ!?」
.
困ってるなら仕方がない。
本当は、野良猫のような人間じゃなくて
本物の猫を飼いたかったけど…
こんな猫を飼うのもアリかもしれない。
.
慧「んじゃ、猫になれるよう努力するわ。」
「そんな努力はしなくていいです!」
.
こうして高校時代の先輩…通称適当、
自称、野良猫の伊野尾慧先輩との
世にもおかしな共同生活が始まった。
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まりも(プロフ) - ふるどけいさん» わわ、そう言ってくださり嬉しいです(///ω///)はい、卒論頑張ってきます! (2019年9月4日 21時) (レス) id: aaad2f0c31 (このIDを非表示/違反報告)
ふるどけい(プロフ) - 伊野尾先輩のアンニュイな感じが伝わってきていつもきゅんきゅんさせられています(´艸`*)就活の次は卒論で大変だと思いますが、頑張ってください! (2019年8月26日 23時) (レス) id: 8d66199de5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まりも | 作成日時:2019年4月28日 23時