参 ページ27
「僕の『羅生門』は悪食。凡るモノを喰らう。抵抗するならば次は脚だ」
「よ、よくも!」
「敦君!」
私の手から拳銃を奪い取り、敦少年は芥川に向けて銃を放った。
しかし無駄だ。彼は…。
「そ、んな…何故…」
銃弾は、全て地面に転がった。
「貴様のそれは所詮、愚者の蛮勇だ。
云っただろう。僕の黒獣は悪食。凡るモノを喰らう。仮令それが『空間そのもの』であっても」
ある意味芥川の異能は汎用性が高い。このままだと…。
「そして僕、約束は守る」
「敦君!!」
私は彼を突き飛ばした。
もつ、反撃の術がない。つまり私の行く先は…。
「Aさん!!」
腹が痛い。血飛沫が見えた。口からも何か込み上げて来た。血だった。
如何やら私は…腹を喰われたらしい。
視界に地面が広がる。顔に痛みが走った。何かにぶつかった時の痛みだ。
そうか、私は頭から地面に突っ込んだのか。
「Aさん!?Aさん、しっかりしてください!」
(少年、貴女もよ。しっかりしなさいな)
そう軽口を叩こうと思ったら、血が吐き出た。
嗚呼、帰ったら治の説教と与謝野女医の治療か…。
私はこれからの行く末に頭痛がした。その痛みが決定打となって、意識を失った。
__________________________________________
「はぁーい、そこまでー」
Aが失神して暫くして。
人虎としての力を開花させた敦と芥川の勝負は終わった。決着が付いたわけではない、只、仲裁役が来ただけだ。
それが、Aの待ち望んでいた太宰だった。
太宰に触れられれば、敦の虎化も芥川の羅生門も解けてしまった。
「…Aさんがいれば、貴方も此処に来ると思っていましたよ」芥川がほくそ笑んだ。
「貴方探偵社の____!何故ここに」対して樋口は突然の来訪者に驚きを隠せずにいた。
「美人さんの行動が気になっちゃう質でね。こっそり聞かせて貰ってた」
まあ、A以上の美人には未だ嘗てお目に掛かった事がないのだけれどね!と太宰はいけしゃあしゃあと云った。
樋口はそこでやっと自分に盗聴器が仕掛けられていた事を知る。
「では最初から___私の計画を見抜いて」
「そゆこと」
太宰はそう云った後、倒れている敦の頬をペチペチと叩いた。
「ほらほら起きなさい敦君、私はA以外は負ぶって帰りたくな…」
太宰の舌が止まった。
彼はある一点だけを見つめていた。
そこにいたのは、血の海の上を突っ伏すAだった。
302人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
有原霊花(プロフ) - とある病、等の表現は出来ないのでしょうか?後からターナーの症状が物語に影響するのなら納得いきますが… (2019年8月5日 7時) (レス) id: 70a887fc81 (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - 有原霊花さん» 大変失礼いたしました。しかしこれはキャラクターの設定の一つである事を理解していただきたく思っております。 (2019年8月5日 3時) (レス) id: 4e09bde857 (このIDを非表示/違反報告)
有原霊花(プロフ) - 私はターナーにかかっているものです。そう易々と病名をネタに使われるのは不快なので、やめてほしいです。 (2019年8月5日 0時) (レス) id: 5869a0a1cd (このIDを非表示/違反報告)
由紀(プロフ) - 雪菓さん» すみません、いきなりなんですけど黒の時代の太宰さんのタイプの女性が「何も聞かない女性」とwiki先生が言っていたんですけど、もしかしてそれを意識して書いているんですか? (2017年11月23日 21時) (レス) id: d1693c1caf (このIDを非表示/違反報告)
雪菓(プロフ) - サラさん» わわわ、続編あったのですね、、、!!早とちりしてしまいました笑続編も楽しみにしています!! (2017年7月31日 15時) (レス) id: a8c1e7bbe3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:サラ | 作成日時:2017年7月27日 17時