【文スト】太宰治の奮闘記録

恋愛とは ページ25

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ゆっくりと両手に閉じ込めた彼女は、少し力を入れれば本当に壊れてしまいそうな程小さく柔らかかった



「――如何？」

『ドキドキします』

「其れ恋だよ」

『違います』

「うん、だよね」


いつも通り過ぎる会話のキャッチボールに、少々不満に思って其の顔を覗き込もうとすると



『………』



即座に下を向かれてしまう



「如何して隠れるの」

『も、もう離れてもいいですか…』

「あー、恥ずかしい？照れてるの？」

『恥ずかしいです本当に、矢っ張り無理ですもうしないで下さい』

「いーや」



多少は赤いであろう其の顔は拝めなかったが、彼女が私の腕の中に大人しく居るってだけで、今は充分だ


静かな路地裏で、少し早い鼓動の音が聞こえるような気さえしてくる


Aの事になると、如何しようもなく単純な男になる私は、其れだけで満たされていた



「癖になりそう」

『ならないで下さい』

「この侭続けてたら君もその内恋って錯覚するんじゃない？」

『み、身も蓋も無い……』



もう、なんでも善い


錯覚でも、勘違いでも、その気が無くても、Aが私のものになるなら、なんだって構わないのに


こんなに欲しいと心から思っているのに、簡単には手に入らない


恋愛って本当に難しい




でも―――…



『太宰さん』

「ん？」

『……若し、仮に、万が一、私が錯覚しちゃったらその時は、ちゃんと責任取って下さいね』



―――でも、その分予想外の刺激も沢山ある


これだからやめられない




「どんな責任をご所望かな？」


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