史上最悪の料理 ページ15
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『あ、あのう、何か?』
私の影にすっぽりとおさまる小さな躰
見上げてくる瞳は、自然な茶色でビー玉より綺麗だ
「何か無いと、こうしちゃ駄目なの?」
『いや流石に理解し兼ねます』
「うん、だよね、私も思う、でも躰が勝手に、ああ、手が勝手に―――…」
下手な芝居をうって、さらりと其の髪を梳くと、聞こえたのは小さな溜め息
唾を飲む音すら聞こえそうな静けさなのに、彼女の鼓動は一切聞こえてこない
如何に落ち着いているかが伺える現実
彼女が私に、どきりともしない現実
―――嗚呼、もどかしい…
今、目の前にある唇を無理矢理塞げば、どんな反応をしてくれるだろうか
私の望む反応だろうか
『太宰さん、退いて下さい』
否―――…
「――退かない、って云ったら?」
後悔するのは目に見えてる
未だ間に合うから、いつもみたく冗談めかして早く退くんだ私
痛い目を見る前に、早く
早く――…
『……や、やだっ!』
はっとした時には、もう遅かった
至近距離のAは涙目で口を押さえていて
先程迄の綺麗な茶色の瞳は、軽蔑と比喩するに値する色を含んで私を映していた
だから云ったのに
痛い目を見る前に、早くって
走り去る彼女の背中を只呆然と見詰め乍ら
如何しようもない胸の痛みと、其れを加速させるように残る唇の僅かな感触に、後悔というスパイス迄加わって
漠然と悟る
彼女を傷つけた、と
「本当、何やってるの私…」
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ななし - 待ってください本当最高すぎます!!続編楽しみにしています!今から待ち遠しいですー!!もし可能であれば中也オチと太宰オチのどちらも見てみたいです!! (2018年7月22日 6時) (レス) id: 5557df580c (このIDを非表示/違反報告)
ふらん - 続編が…楽しみぃぃぃ!やばいですね!最高です…! (2018年7月21日 17時) (レス) id: dbdc3a2a0b (このIDを非表示/違反報告)
桜来(プロフ) - わああそう来るんですか最高です.....!!続編が楽しみすぎます!!一巻お疲れさまでした!続編の方も応援してます!! (2018年7月21日 11時) (レス) id: 796169ce21 (このIDを非表示/違反報告)
インコ(プロフ) - 最高かよ…お餅さん最高かよ…続編待ちきれない…。ひとまず一巻おつかれさまでした! (2018年7月21日 10時) (レス) id: 059b544bd8 (このIDを非表示/違反報告)
あさぎ(プロフ) - 中也さん…?えっ…最高すぎませんか?続編1ヒット目指して神速で見ます(笑) スマホが手放せない…:( ;´‐`;): (2018年7月21日 10時) (レス) id: 6de4597e1c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:お餅 | 作成日時:2018年7月13日 7時