うちのマネには秘密がある。【HQ】【稲荷崎】

隠せるかな ページ11

角名side




古典の授業が終わると、俺は隣の席の治に目をやった。






角名「治、またAにノート借りたの？」




治「ん？おお、Aのノート絶対先生よりわかりやすいで」




角名「へぇ…まぁでもそれは治が先生の話聞いてないのもあると思うけど」





治は何かメモのようなものを大事そうにノートに挟んで席を立つ。





治「角名もついてくる？」




角名「んー、暇だし行こうかな」




治と隣の教室に行くまでの廊下を歩き、1組の教室に入る。





角名「侑爆睡じゃん」



A「えーそうやねん、授業半分寝とった」



銀島「こいつに授業起きとけって言う方が難しいしなぁ」



治「こんなんでテスト大丈夫なんかこいつ」



角名「治も人の事言えないんじゃない？」




治も性格は多少違ったって遺伝子は同じだ。




治「…あ、そやこれ返しに来たんやった


今日もありがと〜」




治がAにノートと教科書を渡し、Aは笑って受け取った。




A「いい加減持って来や〜」




治「んー、多分な



…あ、あと、メモみたいなん挟んであったけど、大丈夫やった？」



治が言っているのは多分さっきノートに挟んでいたメモの事だろう。



治は少しだけ申し訳なさそうにAに尋ねた。
なんかやましいもんでもあったのかな…







A「え、メモ？そんなん挟んでたかな〜」





Aがパラパラとページをめくってそのメモを開く。





























多分俺は今、Aの「見てはいけない」部分を見てしまっている。と、瞬時に理解した。























さっきまで笑っていたAの顔が、一瞬で凍りついたみたいに冷たくなった。














A「あーこれね、うん、大丈夫！」























決定的な言葉は何も言わずに、Aはメモを自分のブレザーのポケットにしまって笑顔を戻した。









幸か不幸かそこでチャイムが鳴り、俺と治は教室に戻ることにした。









角名「……ねぇ、さっきのA…」




治「ん？」




治はきょとんとした顔をしている。


もしかしたら気づいてなかったのかもしれない。





俺は話すのに気が引けて、その話題を誰かに出す事はしなかった。








そのうち、Aに対して何か、突っかかる思いが芽生えるようになった。

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