狐拾ったら半妖だった。【宮治】

こわ ページ20

Aside




周りがざわつき始めた時、私たちの駅に到着した。





治「おいお前も降りろや」



A「ちょ、治、もういいよ、」



治「何がいいねん、お前は黙っとれ」







こっわぁ




これ以上何を言っても無駄な気がして私は黙っておいた。





治「ええ歳して悪い事とええ事の見分けもつかへんのかおっさんは。

今までの人生で何学んできてんおい」



治の今まで見た事のない「怒り」




横でそれを見ている私にも、男の恐怖が伝わって来た。




治「お前、何回もこんな事してきたんか」





「……い、いえ、これが、初めてです…」




治「なんでこんなんしてん、仕事のストレスか？」




「…」



男は頷いた。






私は痺れを切らして治の横に立った。
治は私を見る




A「治、ちょっと私にも話させて」




治「…おん、」




A「おじさん、私別に今から貴方を駅員さんに引き渡そうなんて思ってません。


指輪してはりますね、既婚なんですね



奥さん毎日おじさんのお弁当作ったり、その綺麗なシャツにアイロンかけたりしてはるんですよね。



3食作るのも、子供の世話するんも、洗濯するんも、

おじさんが仕事してるくらい大変な事なんですよね。




奥さんは一生懸命おじさんに応えてるのに、おじさんはその応えを裏切るんですか？


やってる事悲しくないですか？









……以上です。もうこんな事やめてくださいね。」







私は全部言いきって治の手を握って改札へ向かった





治「えっ、ちょ、ええんか？あのおっさんあのまんまにしといて」




A「いい。事情聴取とか面倒やし」




そのまま治と私はほとんど何も話さずに家に帰った。
















・





治「ごめん、A」






玄関で突然治に後ろから抱きしめられた。




A「え？何が？むしろ私がごめん

面倒なことに巻き込んじゃったし」








そう言うと、抱きしめる力を一層強くした治







治「俺、おっさんに怒ってたからって、Aに酷い言葉使ってもうた」







''何がいいねん、お前は黙っとれ''








あぁ、あれか






A「気にしてへんよ、怖とは思ったけど」




笑いながらそう言うと、治の唇が耳に触れた







治「Aが他の男に触られるんが、くそ嫌やってん、



俺も触れた事ないAに触れられるんが、嫌やってん」





言っている事はまぁ卑猥だけど、発する声は悲しみを含んでいた

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