追憶 ページ39
Aside
炭治郎「A、A、」
そっと目を開くと、炭治郎さんの顔が一番に映りこんだ。
A「た、じろさん、………わたし、助かった…?」
炭治郎「ああ。助かった。普通なら死んでたっておかしくないのに、Aは強いよ。
生きてくれて、ありがとう。」
その言葉が心にじわじわと温かくシミを作った。
炭治郎「だけど、まだ安静にしないといけない。
しばらくは俺も外に出る仕事は控える。
Aを傷つけた奴らも、もうAや俺たちに危害を加える事は無いよ。」
A「……ん、よかった」
そう言うと、炭治郎さんは私の手を強く握った。
炭治郎「____A、聞いて欲しいことがあるんだ。
俺の、家族のこと。」
炭治郎さんは真っ直ぐな瞳で私を見た。
私は力強く頷いた。
***
俺の父さんは、何代も続くこの組織の頭をしていたんだ。
俺は長男だから、父さんの跡を継ぐ事だって覚悟してた。
父さんも、「人を殺めないマフィア」だった。
でも父さんの代ではまだこの組織は未熟で、周りの組織からもあまりいい顔をされていなかったんだ。
そこで、俺たちをよく思わない組織の連中が手を組んだんだ。
一晩だ。
俺の母さん父さん、弟たち、妹たちは、一晩でそいつらに虐殺された。
その時運良くそれを免れたのは、一部の部下たちと、その部下たちに連れられてなんとか救われた俺だけだった。
堪らなく悔しかった。
俺はこの手で、誰も、何も救えなかった。
大切なもの全部、俺は今まで何一つ救えなかった。
このことを話して、Aが俺を失望するのが怖かったんだ。
何も守れない俺に、Aは着いてきてくれるのかって、怖くなって、あの時Aを突き放した。
でも、Aを助けに行った時思ったんだ。
この子は、本当に強くて、素敵な子で、真っ直ぐで、
俺の過去を知りたいと言ってくれた時も、傷だらけで笑った時も、いつだってAの瞳は真っ直ぐだった。
この真っ直ぐな瞳から、逃げちゃいけないって思ったんだ。
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太宰亜里沙(プロフ) - 司アマネさん» ありがとうございます! (2021年5月2日 17時) (レス) id: 9865e50aa1 (このIDを非表示/違反報告)
司アマネ - この作品大好き!もっと読みたかった〜!クライマックスが最高!これからも頑張ってください!応援してます(^○^)! (2021年5月1日 18時) (レス) id: 9335ee8fbd (このIDを非表示/違反報告)
太宰亜里沙(プロフ) - 夢見 腐愛さん» ありがとうございます!!頑張ります! (2021年2月1日 19時) (レス) id: 9865e50aa1 (このIDを非表示/違反報告)
夢見 腐愛(プロフ) - 太宰亜里沙さん» もう終わった?!もっと読みたかった!とても面白かったです!これからも更新頑張ってください! (2021年2月1日 19時) (レス) id: c181f4e3a0 (このIDを非表示/違反報告)
太宰亜里沙(プロフ) - (*´∇`*)さん» ほんとですか!めっちゃ嬉しいです!こちらこそありがとうございます〜! (2021年1月28日 10時) (レス) id: 9865e50aa1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:太宰亜里沙 | 作成日時:2020年12月29日 18時