影山が大好きな奥さんの話。【影山飛雄】【HQ】 (ページ35)

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Aside

A「＿＿＿ただいま」

ゆっくりと扉を開けて、酔の覚めた体でリビングに向かう。

怖い気持ちはあったけれど、向き合わないといけない気持ちの方が強かった。

リビングの扉を開けると、飛雄がスウェットを着てソファで顔を落としていた。

頭にはタオルがかけられていて、表情はよく見えない。

A「飛雄、昨日はごめん」

影山「＿＿なんで、Aが謝んだよ」

ようやく開かれた口からは低い声が発せられた。

私はその、ひとまわりもふたまわりも小さくなったように見えるその体を、ソファに座って横からそっと抱きしめた。

A「飛雄が何を考えてるのか、いつも大体わかるよ

でも、今回は飛雄の考えが分からない

だから私に教えて欲しい。私はどうしたらいいのか、教えて欲しい。」

そう言うと、飛雄を抱きしめる私の腕に飛雄の手が触れた。

影山「俺は、海外に行きたい

世界で、もっと広いバレーがしたい

でも、それが同時にAを縛り付けることになるなら

俺はもう、Aを幸せにする事ができない」

飛雄から弱々しく発せられた言葉に、私は目を見開いた。

A「そ、……

そんなこと、あるわけない！

飛雄がいずれ世界でもっと活躍する選手だって事くらい、私は高校の時からわかってた！

飛雄がもっと広い世界でバレーがしたいって思ってる事くらい、結婚する前からわかってた！

私の事考えて夢をあきらめる必要なんて絶対にないよ

だって飛雄の夢は、私の夢でもあるんだから

私はずっと飛雄の一番近くで飛雄を支えたいの、それが私の夢！

地球の裏側まで一緒に行こうって言われたら、絶対に着いていく！離れたいなんて思わない！

例え飛雄が宇宙の果てまで行きたいって言っても、私は這いつくばってでも飛雄に着いていくから！」

私の気持ちは、そんな生半可なものじゃない。

人生をかけて、私は飛雄と一緒になったんだから。

たとえ地獄でもついて行く

それが、飛雄の夢なんだとしたら