はち ページ9
Aside
A「おはようございます」
体育館の鍵を開けて、挨拶をする。
まぁ勿論、誰もいないのだが。
軽くモップをかけて、スクイズを取り出し、ネットをはり、ボールを出しておく。
選手達が、来た瞬間から練習できるように。
記録用紙も机の上に準備して置き、スクイズを水道場で軽く洗浄する。
選手達が、美味しいドリンクを飲めるように。
及川「おっはよーん!」
岩泉「A、はよ」
A「あ、おはようございます」
2人とは、昨日の事もあって、軽い会釈だけで済ませた。
なんとなく気まづくて、顔をしっかり合わせられない。
2人はジャージを脱いで、ボールを床にババン、と、叩き付ける。
岩泉「おっしゃ、及川トス上げてくれや」
及川「はーい!」
A「あ、じゃあ、私ボールを__」
しまった、さっき気まづいとか言ってたのに、ボール出ししますっていつもの癖で………
上げた手をそっとしまって、部活ノートに再度目を見やった。
及川「Aちゃん!ボール上げて欲しいな!」
A「!」
もしかして、聞こえてたのかな……
A「……はい、やります」
及川さんは、いつも優しい。
勿論岩泉さんも。
だから、怖いんです。
いつか離れられた時の事を考えると。
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午前の練習が終わり、皆でご飯を食べてから、また午後の練習が始まった。
事件はそこから始まった。
「Aさーん、このドリンク不味くないっすかー?」
A「え?あ、ごめん、調節間違えちゃったかな…」
私にそう声をかけてきたのは、二軍の1年生部員だった。
「しっかり仕事しろよ。それとも何?いつもいよちゃんにしてもらってるから、わかりませーん!って?
調子乗んなよ」
耳元で私にそう呟き、ドリンクを強く押し付けてきた。
その力が余りにも強くて、私は後ろに尻もちを着いた。
「は、弱、マジ使えねぇ」
その部員の周りの1年生がニヤニヤとこちらを見てくる。
及川さん達には見えないように、人の壁を作って。
A「っ、ご、ごめんなさ、」
呼吸ができない。
息が、______
及川「よし!休憩終わり!」
及川さんのその声を聞き、私は走って体育館を出た。
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奏 - めちゃくちゃ面白かったです!今まで見た小説の中で一番感動したかもです。これからも応援しています頑張ってください! (12月17日 22時) (レス) @page47 id: 3dd8da6ef4 (このIDを非表示/違反報告)
琴音 - 感動しました。いつもタブレットはリビングで使っているのですが、泣いている私を見て、両親がむっちゃ焦ってました。小説で泣いたの始めてです。最後の青い城は、今日も平和だ。という言葉とっても素敵です。お疲れ様でした (2022年10月16日 20時) (レス) @page42 id: 1c719ec638 (このIDを非表示/違反報告)
太宰亜里沙(プロフ) - かしわもちさん» そう思っていただけてとても嬉しいです!!ありがとうございます! (2022年8月1日 22時) (レス) id: 742fb4603b (このIDを非表示/違反報告)
かしわもち - 夢主ちゃんは「凄いな」と思いました!私も見習いたいです。(嫌がらせを受けてるわけじゃありませんけど)なんかすみません上から目線みたいな言い方になってしまって………。とても面白かったです!!! (2022年7月27日 18時) (レス) @page47 id: 82b6cff03d (このIDを非表示/違反報告)
太宰亜里沙(プロフ) - マロンさん» コメントありがとうございます!感動していただけてとてつもなく嬉しいです、、、!! (2022年5月12日 0時) (レス) id: 9c22394b1a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:太宰亜里沙 | 作成日時:2020年1月4日 23時