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11.未だ君を知らない ページ13

「中也、触れたものを変化させる異能者を知っているかい?」

「は?何だよ、急に」

「いいから」

私は急かした。中也なら知っているかもと。

地に視線を落として、考える素振りを見せた後に頸を降った。

「いや、知らねぇ」

「そう…」

首領なら?首領なら何か…。

私はひたすら求めた。

何故、Aの触れたモノが変わるのか。

Aが異能力者?

真逆、そんな事が…。

「兄さッ……早く…出ないと…!」

浅い呼吸の中から聞こえたか細い声に反応した。

振り返ると、腹をかかえて蹲(うずくま)るAの姿。

「よく聞け、太宰の妹。

敵は殲滅(せんめつ)した。あとは帰るだけだ」

中也が傍に寄り、Aに話しかける。

だが、Aはずっと焦っている。

何かを見ている。

「違う…!早く逃げッ…!いいから……!」

涙を目に浮かべている。

「皆が死んでしまう…早く…あいつが…自爆スイ…チを」

自爆スイッチ?あいつが?

何かを察し、生け捕りにした頭(かしら)を見やる。


其奴は笑っていた。

構成員に拘束されながらも笑っていた。


何かを持っている――。


「其奴の手を切り落とせ!!」

私の命令にすかさず反応し、その通りにした構成員は、

訳が判らないという顔をしている。

痛みに叫ぶ男から転がってきた手には、何かのスイッチが握られていた。

それを拾い上げて見てみると、本当に起爆スイッチだった。

Aのところへ持っていき、見せつける。

「A、何故判ったんだい?

ヤツがこれを持っていると」

虚ろな目で私の手中にあるものを見る。

「何となく…危ない、気が……」

腹部からは未だ血が溢れている。

「でも、善か……た。……皆…無事?」

唐突に胸が締め付けられた。

Aが死ぬかもしれない。

でも役に立ったんだ。いいじゃないか。

Aが死ぬかもしれない。


未だAに云ってない。


何を…?私は何を云わなければいけないの?


「中也、救護班を呼んで」

「唐突だな。意味あるのか?」

「ある。彼女を…生きてる奴は全員回収する」

起爆スイッチを彼女に触れさせる。

不安そうに私の顔を見るAと目を合わせる。

「これを何かに変えてみろ」

それだけ云ったが、Aは頷いた。

今はもうまともな判断など出来ないようだ。

彼女が握りしめると、異能力が発動した。

起爆スイッチは筒状の携帯灰皿へと姿を変えた。

まさに我発見せり(ユリィカ)。

12.私は知りたい→←10.これは何だ…?



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オタクなめんな - すっごく面白かったです。映画でも見ているよな感じでした。 (2018年8月15日 3時) (レス) id: edf769ece4 (このIDを非表示/違反報告)
入浴(プロフ) - ゆきみだいふくさん» 有難う御座います!喜んで貰えたようでこちらも嬉しいです! (2018年3月26日 19時) (レス) id: d6f7c6ac49 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきみだいふく(プロフ) - 完結ですね!おめでとうございます!!大好きな太宰さんの色々な面が見られて嬉しかったです! (2018年3月26日 18時) (レス) id: 5f17ef063a (このIDを非表示/違反報告)
入浴(プロフ) - きのさん» 良かったですw私的には成功です! (2018年3月26日 16時) (レス) id: d6f7c6ac49 (このIDを非表示/違反報告)
きの(プロフ) - 泣ける (2018年3月26日 12時) (レス) id: e253f59a3b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:入浴 | 作成日時:2018年2月26日 16時

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