Act.3《蝕む愛─前編─》 ページ5
「どうぞ。２人で暮らすには十分な広さはあるから。」
そう言って、太宰さんは部屋の扉を開けた。
と同時に、太宰さんの爽やかで甘い香りが漂ってくる。
『失礼、します。』
「ふふっ、これから此処で暮らすのに他人行儀だなあ。」
ほら先に入って、荷物は私が持ってくるからとぐいぐい中へ押し込まれた。
片付けなどには無頓着そうな太宰さんだが、意外にも部屋はシンプルに整えられている。
「どう、気に入った？」
『はい。ありがとうございます。』
そう言うと、太宰さんは私の頬を撫でて優しく微笑んでくれた。
ふと窓に目をやると、もう日も落ちている。
「おや。もうこんな時間かい？引っ越してきて早々なんだけど、お風呂に入っておいで。」
時計を見ると、11時をまわっていた。
荷物からお風呂道具と着替えを取りだし、せっせとシャワー室へ向かう。
『あの、太宰さん…。』
「うん？どうしたんだい？」
『シャンプーやコンディショナーを前の部屋に忘れてきてしまって……。』
以前は備え付けのボトルを使用していた為、ついつい忘れていた。
「私ので良かったら使って構わないよ。それでいいかい？」
こくりと頷いて、私は再びシャワー室に向かった。
──太宰side──
慣れない足取りでシャワー室へ向かう彼女を見ていた。
やっと、自分の手の届く範囲に来てくれた。
この日をどれだけ待ち望んだことか。
Aは、私のシャンプーを使うと言っていた。
さらりとした彼女の髪を指ですく時、自分と同じ香りがするのだと考えるとぞくぞくする。
此の手の中に収めたからには、離すものか。
そして、私だけを求める様にしなくては。
Act.3《蝕む愛─後編─》→←Act.2.5《独占欲─太宰side─》
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 794人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぽむぽむ(プロフ) - 秋葉さん» ありがとうございます！！どちらも読んでいただけて嬉しいです(*´-`)感動です！！！ (2018年4月23日 1時) (
レス) id: 0ca2e09788 (このIDを非表示/違反報告)
秋葉(プロフ) - どっちのエンドも最高でしたあああ！！すっごく好みでしたー！ (2018年4月22日 14時) (レス) id: 5709606bf2 (このIDを非表示/違反報告)
ぽむぽむ(プロフ) - 素敵帽子くんさん» 返信遅くなってしまい、ごめんなさい！！ハマってしまった……なんて嬉しい言葉！！感激です(*´-`)ありがとうございます！！ (2018年4月20日 21時) (レス) id: 0ca2e09788 (このIDを非表示/違反報告)
素敵帽子くん - 太宰さん…エr(((殴 ラスト2つあるのに両方とも読んで一人で「はぁぁぁ!!!」ってなってました←変態 ハマってしまいました( 〃▽〃) (2018年4月9日 21時) (レス) id: a991cfb41f (このIDを非表示/違反報告)
ぽむぽむ(プロフ) - 深遊さん» はまってくださった！？すごく感激です！！ありがとうございます！！ (2018年4月5日 17時) (レス) id: 0ca2e09788 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぽむぽむ | 作成日時：2018年4月3日 18時
