とびきり甘い軟禁生活を貴女に。【文スト】

LastAct-1 ページ16

『だ、ざいさ……………ッ。』



酸素が身体に回らず、上手く動かない手を必死で太宰さんに伸ばす。



そんな、悲しそうな顔をしないで。



手首を曲げ、太宰さんの太ももに爪が当たる。
太宰さんは、はっとした様に其処へ目をやった。


「Aちゃん……？」


そう言うと呆然と私の顔に目を移し、するりと指を解いた。


白く歪んだ景色の中、必死で身体を起こして太宰さんに抱き付いた。


『だざい、さん。大宰、さん……！！』


暫くは呆然としていた大宰さんも、ゆっくりと私の背中に手を回す。


『大宰さん、私を信用してください。こんなことしなくたって貴方の傍から居なくなったりしません。そして、自分に自信を持ってください。私は色々な人と関わっても、貴方の事が１番好きなんですから。』



私の髪を伝って、太宰さんの涙が私の頬にまで流れてきた。


「有り難う、Aちゃん。こんなことして、本当に済まなかった……！」


そう言い、太宰さんは私の頬に手を置いて口付けた。
今度は額ではなく、唇に。


其れは、今までの太宰さんよりずっと優しくずっと甘い様に感じられた。




────Fin────

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