警戒心 ページ35
つゆりside
「…その警戒心のなさ、いい加減直したらどうです?」
———…ホント、危機感なさすぎ。
唐突に、少し前、京治に言われた言葉が蘇ってきた。
「…一応言っときますけど、ここ、男の部屋ですから」
『……』
「そんなんじゃ、いつか喰われますよ。ちょっとぐらい、警戒心とか危機感とか持って下さい」
そう言って、光君は私との距離をさらに縮めた。
お互いの唇が触れそうになった距離で、私の袖を掴んでいた光君の手の力がふっと弱くなり、光君との間に、ちゃんとした距離ができる。
・
・
———チュッ
・
・
「…だから言ったでしょ。男の部屋入ったら、何かあると思っといた方がいいですよ」
…不意、打ち…。
「今みたいにされちゃいますから」
と言い、私の唇に人差し指を添える。
そう言う光君は余裕そうな顔をしていて、私の顔は赤くなるばかりである。
「顔…林檎みたい。真っ赤ですよ」
『〜!そういうのは言わなくていいの…!』
そう言うと、なんだか嬉しそうに悪い顔をする光君。
その顔が一瞬、なんだか光君の兄———充に見えたのは、気のせいかな。
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作者名:tonight | 作成日時:2023年1月1日 17時