・ ページ5
Aside
ワース君は、相当驚いているようだった。
その怯えたような顔を見て、申し訳なさでいっぱいになる。
……ごめんね、ワース君。
でも、今日は仲直りしに来たから。
この教室から出る時には、普段の私たちに戻ってるから。
申し訳ないけど、ここで引くわけにはいかないよ。
『アベル君にアビス君、ありがとね。私頑張るから、もう大丈夫だよ』
「分かった」
「がっ……ががが頑張って……」
2人は教室を出ていった。
教室には、私とワース君の2人だけ。
あの時と同じ、2人だけの世界。
ワース君の隣の席に座って、重たい口を開いた。
『……ごめんね』
「……何、で」
ワース君の瞳が揺れる。
まるで、私に何かを気づかれてほしくなかったみたいに。
『……寂しい思いさせちゃったよね。ワース君寂しがり屋だもんね』
「……ちげーし」
『もっとしつこく引き止めれば良かったよね。今思えばワース君、強がってたんだなあ』
「……勘違いじゃねえの」
『勘違いじゃないよ』
ワース君と会話ができる。
そんな当たり前のことが、こんなに嬉しいとは。
「……俺も、ごめんな」
『何で？別にワース君悪くないじゃん』
「A……それは優しすぎるって」
ワース君はまた、悲しそうな笑みを浮かべる。
「Aを傷つけないように……って避けてたけど、大間違いだった。そっちの方が傷ついてたんだろ？」
『ゔ……』
うんとは言えないけど、今の反応で完全に図星だとバレただろう。
『……ワース君に好きって言ってもらえて、すごく嬉しかったよ』
「……は、」
『その気持ち、伝えてくれてありがとう』
正直な思いだった。
嫌じゃなかった。むしろ嬉しいぐらいだった。
『これからも、仲良くして欲しいです！』
「……はは」
ワース君は、嬉しいような悲しいような、困ったような笑みを浮かべた。
「そんなん、当たり前だろ」
その当たり前が、この上なく嬉しい事はさっき感じたばかりだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 95人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミルメーク(プロフ) - 完結おめでとうございます！新作是非描いてもらいたいです！そこでリクエストなのですがウォールバーグには姉がいてアダムの第一弟子でイノゼロの初恋相手ーみたいな感じで書いて欲しいです！ (4月27日 16時) (
レス) @page49 id: b3b06100e3 (このIDを非表示/違反報告)
山羊のサーカス(プロフ) - 完結おめでとうございます！最高の作品でした！！本当にありがとうございました！ (4月27日 10時) (レス) id: ed09130390 (このIDを非表示/違反報告)
梨花 - 最高すぎます💕💗💓ニヤニヤがとまりませんよー！お体に気をつけて更新頑張ってください！！ (3月30日 21時) (レス) @page5 id: 8453adea14 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：tonight | 作成日時：2024年3月28日 14時
