・ ページ24
レインside
Aが目覚めなくなってから、1ヶ月が経った。
担当医に聞けば、体の方はとうに回復しているはずだという。
仕事をする手を止めて、ベッドの側にある椅子に腰掛ける。
手を伸ばして、彼女の頬を撫でた。
お願いだから、早く目覚めてくれ。
また、嬉しそうにオレの名前を呼んでほしい。
また、その手を繋がせてほしい。
「好きだ……」
彼女への思いを声に出してみれば、以外にもその言葉は腑に落ちて。
早くAに、この思いを伝えたいと思った。
彼女の瞼をそっと撫でる。
その手は、頬、首、手……とどんどん下に降りていく。
手を握っても、当然握り返してくれるはずもなく。
久しぶりに感じた寂しさに、涙が溢れそうになった。
＿＿＿＿＿＿＿兄さま！次はこれ読んで！
なぜか突然、幼いフィンとの思い出が蘇る。
……そういえばフィンは白雪姫が大好きだったな。
毒リンゴを食べて死んでしまった白雪姫に、やってきた王子がキスをして蘇らせたって話だったが……
ふと、目の前のAに視線を落とす。
……お前も、キスでもしたら目を覚ますのか？
そんな訳はない。それで目を覚ますんだったら、この前ワースが来たときに目を覚ましているはずだろう。
頭ではそうと分かっていた。
分かっていたはずなのに＿＿＿＿＿＿
まるで、ワースからのものを上書きでもするかのように。
Aの唇にキスを落とした。
「……好き、だ」
最後にそう囁いて、オレは仕事に戻った。
＿＿＿＿＿＿＿１週間後
今日も病室で仕事を進めていた。
ただ、昨日の討伐の疲れが残っていたのか頗る眠い。
今日の仕事は少ないし……仮眠を取っても問題ないだろう。
15分……そう決めて、仮眠を取ることにした。
次に目を覚ましたときには、夕方特有の西日が差し込んでいた。
オレは予想以上に疲れていたらしい、少なくとも15分で起きれなかったことが分かる。
上体を起こして時計を見れば、5時になっていた。
その反動で、オレにかかっていたブランケットがすべり落ちる。
……は？
オレは寝る前、ブランケットを掛けたりなんてしていない。
一体、誰が＿＿＿＿＿＿＿
『……レイン君？』
その時、オレの大好きな声が、再びオレの名前を呼んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 95人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミルメーク(プロフ) - 完結おめでとうございます！新作是非描いてもらいたいです！そこでリクエストなのですがウォールバーグには姉がいてアダムの第一弟子でイノゼロの初恋相手ーみたいな感じで書いて欲しいです！ (4月27日 16時) (
レス) @page49 id: b3b06100e3 (このIDを非表示/違反報告)
山羊のサーカス(プロフ) - 完結おめでとうございます！最高の作品でした！！本当にありがとうございました！ (4月27日 10時) (レス) id: ed09130390 (このIDを非表示/違反報告)
梨花 - 最高すぎます💕💗💓ニヤニヤがとまりませんよー！お体に気をつけて更新頑張ってください！！ (3月30日 21時) (レス) @page5 id: 8453adea14 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：tonight | 作成日時：2024年3月28日 14時
