検索窓
今日:131 hit、昨日:177 hit、合計:14,986 hit

レイン・エイムズの病室通い ページ21

レインside








あの後、Aを病院に連れていってから、彼女は目を覚まさなくなった。




次の日も、その次の日も、Aは目を覚まさなかった。







1週間が経った。オレは根気強く病院に足を運んだ。それでも、Aは目を覚ましていなかった。





そんなオレを見て、カルドさんはオレの実技の仕事を減らして、Aの側でできるような書類仕事に変えてくれた。



それからオレは、できる限り毎日、Aの病室に通っている。







そんなある日、ヴォーズさんがオーターさんと共に病室を訪れた。





「いつもありがとな、レイン君」




「いえ……オレが来たいだけなので」




「それでも、Aは十分嬉しいと思うよ」





ヴォーズさんはそう言いながら、自分とオーターさんが持ってきた小さな花束を花瓶に刺した。





「……A」





オーターさんは、彼女の頭を優しく撫でた。
……こう見ると、本当の兄妹みたいだ。





「そういえば……上層部が持ち出してきた、"神覚者代理の廃止案"はどうなったんです?」





「ああ……」





オーターさんは苦虫を噛み潰したような顔をした。





「少し調べてみたんだが……どうやら主に魔法局を金銭的に支援している貴族の中でその制度は良くないと批判を受けているようでな」





「ああ……なるほど」






大方、そいつらに"神覚者代理を廃止しなければ、金銭支援を止める"とでも言われたんだろう。






「金ぐらいウチが出すからそいつらからの金銭支援止めちゃえばいいのに」





「ジジイ達の頭は硬いですから」






ふと、Aの顔を見る。
その顔は穏やかで、今にもオレの名前を呼んでくれそうだった。






「その問題は、私たちが阻止すればいいだろう。Aが起きたら、本人の意見も聞いてみれば良い」





「そうだな」





オーターさんはちら、と時計を見た。





「……残念ながら時間だ」





「もっといたいんだけど」





「引きずってでも連れて行くぞ」





「オーターになら良いかm「口に砂を詰め込まれたいのか」スミマセン……」





ヴォーズさんは病室を出る前、オレに柔らかく微笑んで、





「Aのこと、よろしくな」






と言った。





「……はい」





オレがそう返事をすれば、彼は嬉しそうに微笑んだ。

・→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (48 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
95人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ミルメーク(プロフ) - 完結おめでとうございます!新作是非描いてもらいたいです!そこでリクエストなのですがウォールバーグには姉がいてアダムの第一弟子でイノゼロの初恋相手ーみたいな感じで書いて欲しいです! (4月27日 16時) (レス) @page49 id: b3b06100e3 (このIDを非表示/違反報告)
山羊のサーカス(プロフ) - 完結おめでとうございます!最高の作品でした!!本当にありがとうございました! (4月27日 10時) (レス) id: ed09130390 (このIDを非表示/違反報告)
梨花 - 最高すぎます💕💗💓ニヤニヤがとまりませんよー!お体に気をつけて更新頑張ってください!! (3月30日 21時) (レス) @page5 id: 8453adea14 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:tonight | 作成日時:2024年3月28日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。