冷たきヴィランは仮面を被る。【深海の商人】 (ページ3)

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Aside

＿＿＿＿＿翌朝

「あ、A先輩！こっちでーす！」

『おう』

食堂に朝食を食べに行くと、ユウにグリム、レオナさん、ラギーとジャックが一緒にご飯を食べているのが見えた。

俺がラギーの隣に座ると、珍しくレオナさんが口を開いた。

「そういえばお前ら……何であのタコ野郎と取引なんて馬鹿な真似しようと思ったんだ。おかげで俺の部屋が狭くなっただろうが」

ただのクレームかよ。

「かくかくしかじか……」

「……ッハ！期末テストでアイツと契約したバカ共を自由にするために取引しただと！？ハハハ！コイツはいいな。背筋が寒くなるぜ」

「ま、アズールくんのテスト対策ノートはスゴいって噂ッスからね。欲しくなるのも分からなくもないッスけど」

「そういえば、3人とも今回の試験でアズールとは取引しなかったんスね。レオナ先輩とか、一番楽したがりそうなのに……あっ、いや、なんでもないっス」

ジャックってレオナさんに憧れてるんじゃなかったっけ。
憧れてる割には毒舌だな。

「ばーか。誰が好き好んであんなインチキ野郎と何度も取引するか。背に腹は変えられなくて取引したことはあるが……毎度ロクな条件じゃなかった」

「たしかに、進んで力を借りたい相手じゃないッスよねぇ」

ちょっと無茶なお願いもホイッと叶えてくれるし、実力がある魔法士なのは確かなんだけどな。

「A先輩は？」

『俺？俺はクル先からの信用を失いたくないからだよ』

「Aって、ホントクル先のこと好きッスよね……担任だった頃はあんなに悪口言ってたのに」

『嫌よ嫌よも好きのうちなんだよ』

なんかこれ、前にも言ったような気がする。

「そもそも取引ってのは、欲しいものがあるほうが不利に決まってる。頭の回らない草食動物が軽い気持ちで契約すりゃ、あの手この手でカモられるのがオチだ」

「すごく不安になってきた……」