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Aside
『貸し……って』
何だろう。レオナさんに何かしてあげた覚えはないのだが。
俺が黙ったままでいると、レオナさんはチッと舌打ちをした。
「……まさか、忘れたとは言わせねぇぞ」
……本当に心当たりがない。
そんな俺をみて痺れを切らしたのか、レオナさんは俺の耳に一言囁いた。
“オーバーブロット”と。
『……別に俺、あれ貸しだとは思ってないですよ。オーバーブロットは命に関わります。俺はあくまでも人助けをしただけ』
「俺にとっては貸しなんだ。わかったら、さっさと食え」
『……どうも？』
レオナさんはどこかへ行ってしまった。
「……ま、そういうわけでヨーグルト食べるんスよ」
「同じ味に飽きたら僕に声をかけてください。アレンジレシピならいくらでも教えて差し上げますので」
『……ふふ、ありがと』
俺がそう言うと、2人はにっこり笑った。
「じゃあ口開けて。あーん」
『ラギーは俺のことを赤ちゃんか何かだと思ってるの？自分で食べれるよ。なあアズール』
「……」
『……え？』
ア、アズール、まさかお前……
俺のこと赤ちゃんだと思ってたの……！！
「赤子ではないとは思いますが……」
『が？』
「後ろにいるあなたのセコムの方々を見ると……まるで子どもを過保護に扱っているようだと……」
『……え、ちょっと待って後ろにいるの？』
恐る恐る首を動かす。
……そこには、我らがセコム、トレイ先輩とケイト先輩がいた。
「ちょっとちょっとラギーくん？ウチのAちゃんに何しちゃってくれてんの？？」
「俺はこの間のハグも許してないからな。それに、ここ最近Aにベタベタしているそうじゃないか」
「ヒェ……」
アズールが困った顔でこっちを見る。
……ごめん、俺もどうしたらいいかわかんない。
当のラギーは虫の息である。
『2人とも、別に俺はラギーのスキンシップが増えたの気にしてないです。嫌じゃないんで』
「嫌じゃ……」
「ない……！？」
2人はとんでもない衝撃を受けたようだった。
固まったまま動かない。
「お二人ともAさんの言葉で随分ダメージを受けてますが……大丈夫なんですか？」
『いいのいいの、セコムにはこれぐらいがちょうどいい』
「A、セコムに対しての扱い雑ッスよね……」
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作者名：tonight | 作成日時：2024年1月30日 11時
