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Aside
『……ちょっとケイト先輩。俺がそれ言われて嫌なの知ってますよね』
「知ってるよ？でも思っちゃったもんはしょうがないじゃん？」
『思うのは勝手です。言うのがダメなんです』
ケイト先輩は頬杖をついて、こちらを見て微笑んでいる。
「じゃあ何ならいい？綺麗ならオッケー？」
『……いいでしょう』
綺麗なら……まだマシだよな。
「Aちゃんは目が綺麗だよね。肌も綺麗。髪も綺麗だ」
……何だこの状況。普通に恥ずかしい。
ケイト先輩は俺の前髪を、伸ばした手で横に流す。
「絶対こうした方が可愛い」
『おいちょっと待て』
「あっはは、癖で出ちゃった。オレだけ“可愛い”っていうの許してくんない？」
『……今日だけなら。誕生日なので』
「Aちゃんって誕生日の人にとことん甘くない？あーあ、毎日誕生日だったら毎日“可愛い”って言えるのにな」
いやどう考えても最悪すぎる。
しばらくそんなやりとりをしていると、注文したものが運ばれてきた。
辛いラーメン食べるのなんて久しぶりだな。
「……って、Aちゃん汗全然かかずに食べるじゃん。もしかして辛いの得意？」
食べ始めて少しして、ケイト先輩が俺を見て驚いたように言う。
『いえ、そんなつもりはないですけど……でもほら、俺出身地が』
「あ〜そっか、Aちゃんの出身って氷雨の国だっけ？冬は相当寒いだろうし、辛いもの慣れしてるのかもね」
俺の出身地＿＿＿＿＿＿氷雨の国は冬の寒さが厳しい。
体を温めるため、冬の料理は辛いものになるのが定番だ。
「でもAちゃんが汗かいてるイメージないんだよね。運動してる時とかさ」
『そうですか？そういう体質なのかな』
まあ確かに、言われてみれば……自分が物凄く汗をかいているような記憶はない。
……まあ、汗は出ないと言っても辛いのは変わらないが。
食べ進めていくほど辛い。でもそれが癖になる。
この店が人気なのがよくわかるラーメンだった。
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作者名：tonight | 作成日時：2024年1月30日 11時
