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Aside
『むしろ助かってるからね。あのグリムの手綱を握ってるのは結莉さんだし』
「え……」
『それに、俺は素の結莉さんの方が好きだな。それに、かっこいいってのも悪くないと思うんだよね』
エースが俺のこと可愛いっていうのは気に食わないが。
『それに……このメイクを落としたら、結莉さんは綺麗な顔をしてそうだ。可愛いって言われる日もそう遠くないよ』
「なっ……」
……顔を近づけ過ぎただろうか。
結莉さんの顔が、ボッと音を立てて赤くなる。
「……先輩は、男子からもモテそうですよね」
『モテないよ。まあ、麓の街に行ったら声をかけられることはあるけど』
「やっぱりだ……」
『俺の事、女だって勘違いした男にな』
「……」
結莉さんが、何とも言えない顔になる。
『大丈夫、ガン飛ばしたら逃げてったから』
「……そういう事じゃないんですよね」
結莉さんは苦笑いした。
しばらくして、俺たちはそれぞれの寮に帰ることにする。
「先輩、最後にいいですか」
『何？』
「なんで私のこと、助けてくれたんですか」
“何で”か……
そんなん、答えは一つに決まってる。
『この世で仮面被ってんのは、俺1人で十分だ』
「……」
結莉さんは何か言いたげな顔をした。
それを見て、俺は首をゆっくり横に振る。
大丈夫、今の俺は1人じゃない。
『じゃあね、また明日。
「なっ……！！」
ユウの顔を再び真っ赤にした俺は、ハーツラビュル寮に繋がる鏡へと足を踏み入れた。
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作者名：tonight | 作成日時：2024年1月30日 11時
