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Aside
端の方で俺たちが身を潜めていると、店の電気が消えて、あたりは真っ暗になった。
その暗闇の中、コツコツ……という足音が聞こえる。
スポットライトが、足音の主を照らす。
そこにいたのは……アズールだった。
「これはこれは。成績優秀者上位50名からあぶれた哀れなみなさん。ようこそ、“モストロ・ラウンジ”へ。みなさん、僕のことはよ〜くご存じでしょうが、改めて自己紹介を。僕は、アズール・アーシェングロット」
アーシェングロットってかっこいいよね。
いいな。
「オクタヴィネル寮の寮長であり、カフェ“モストロ・ラウンジ”の支配人であり、そして＿＿＿今日から君たちの
「……なんだって?」
「君たちは僕と勝負をして、負けた。契約に基づき、これから卒業までの間、僕の
「ちょっと待った。こんなん詐欺だろ！」
声をあげたのは、我らが問題児エース。
お前も契約してたんなんて……さすが我が寮が誇る問題児だな。
「たしか君は、1年生のエース・トラッポラさんでしたね。詐欺だなんて人聞きが悪い。僕は契約通り君に完璧なテスト対策ノートを渡したはずですよ。しっかりこなせば、90点以上は取れたはずだ」
「ああ、確かに取れたぜ、92点！」
「それは良かった！お役に立てたようでなによりです」
「でも、対策ノートを渡した相手がこんなに居るなんて聞いてねーよ！」
いや当たり前だろ。
誰と契約しましたなんて、プライバシー守れてないからな。
「エースの言う通りだ。これじゃ、いくら対策ノートをもらったって上位50位に入れるわけないじゃないか！」
さすが問題児デュース。お前もか。
「みんなが90点以上じゃ、85点取っても赤点の時と順位がかわらねぇんだゾ！」
グリム、お前もか。
「あなたたち、守秘義務、という言葉をご存じですか？楽をして良い点を取りたい、落ちこぼれになりたくない、テスト前日まで遊び呆けていたい＿＿＿＿今回、期末テストで僕を頼ったバカ……いえ、みなさんの事情はさまざまでしたが……」
地味にディスるじゃん。
「“誰が”、“どんな事情で”、“どんな契約をしたか”……などというプライバシーに深く関わることを、僕がペラペラと他人に喋ったりするわけがないじゃないですか。僕はとても誠実な男ですから」
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作者名：tonight | 作成日時：2024年1月30日 11時
