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Aside
『……ん、んん……』
誰かの話し声で目を覚ました。
視界には、グレーの天井が目に入る。
……あ、そうだ。俺、保健室に行く途中で……
窓の外は真っ暗だった。
起き上がって外を見ると、会場の撤収作業が始まっているのが見える。
今年はどこが優勝したんだろう。
やっぱりディアソムニア寮かな。
「……優勝はディアソムニア寮だ」
ついたての奥から、レオナさんの声が聞こえる。
レオナさん、そしてラギーも、保健室で休んでいたようだ。
あともう1人の人影は……結莉さんかな。
怪我したのかな。大丈夫だろうか。
「噂には聞いてたけど、マジでディアソムニアの寮長ハンパなかったわ」
「ああ……凄かったな。ユウも見たら驚くはずだ」
これは、エースとデュースの声。
「俺は来年は絶対ディアソムニア寮に勝ってみせる。卑怯な手を使わず、俺の全力を尽くしてな」
ジャックの声だ。
正義感が強くて頼もしいな。
「フン。卑怯な手だって、自分の力のうちだろ？」
レオナさん……反省の色が全く見えない。
「今年の大会は、俺なりに全力を尽くした。来年もまた、勝つために全力を尽くすだけだ」
「シシシッ！さすがレオナさん。そうこなくっちゃ」
「やれやれ。先が思いやられるぜ……」
すると、パタパタ、という小さな子が走ってくるような音が聞こえた。
「あーーっ！おじたん！やっと見つけた！」
子どもらしい、明るくて可愛らしい声だ。
「ン？なんなんだゾ、この子ども」
グリムの言う通りだ。
この学園に、何で子どもがいるんだろうか。
「レオナおじたん！」
「あ〜……クソ。うるせぇのが来た」
「レオナ、おじ…………たん？」
おじたん……って。
普通に笑うんだけど。
「この毛玉は兄貴の息子のチェカ。……………………俺の甥だ」
「「「「「「お、甥〜〜〜〜〜〜〜〜！？」」」」」」
「ってことは、これが王位継承権第一位の……？」
なんて無邪気で可愛らしい子なんだ。
ついたて越しにしか見えないけど。
「おじたんの試合、カッコよかった！今度帰ってきたら、僕にもマジカルシフト教えて！」
「わかった。わかったから、耳元で大声出すな。お前、お付きのヤツらはどうした？今頃泡食って探してるぞ」
「おじたんに早く会いたくてみんな置いてきちゃった。えへへ」
えへへだって。可愛い。
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作者名：tonight | 作成日時：2024年1月30日 11時
