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Aside
「A、立てるッスか？Aも選手ッスよね」
『ああ……よっ、と……』
「A！？」
リドルの時と同じだ。足がふらついて、1人じゃ立てない。
「仔犬」
『……クルーウェル先生』
後ろから、俺を呼ぶ声がする。
リリア先輩が呼んできてくれたクルーウェル先生だった。
「マジカルペンを」
『……どうぞ』
それを見た瞬間、先生は大きなため息を吐いた。
「何故お前は……いつもいつも……」
見せてもらったマジカルペンに嵌め込まれた魔法石を見て、思わず目を見張る。
ユニーク魔法を使う前はほんの少ししかなかった黒いシミが、5倍ほどの大きさになっていた。
「……お前は今日の大会、出場禁止だ」
『……え』
「当たり前だろう。1人でまともに歩けもしないのに大会に出るだと？笑わせるな」
「A、今日はやめておいた方がいいッスよ。大丈夫、来年もあるんスから」
『……わかりました』
ラギーの説得もあって、俺は大会に出るのを諦めた。
「ギルテッドは保健室へ。俺が連れて行こう」
先生が俺の前にしゃがみ込む。
この姿勢……まさか……
『……先生におぶられて行けと……？』
「ああ。それ以外に何の方法が？」
『……承知いたしました』
「大丈夫ッスよ、俺がAの分まで頑張ってくるッスから」
『……ん』
さっきまでギャン泣きしていた人物とは思えない。
ラギーと別れて、クルーウェル先生に渋々ながらもおんぶしてもらった。
20cmの差ってデカいなあ……先生いつもこんな高いところから景色見てんだ……
……そんな事を考えていたら、だんだん瞼が落ちてきた。
先生の背中に身を預けて、俺はそのまま眠りについた。
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作者名：tonight | 作成日時：2024年1月30日 11時
