19話＿＿＿過去編 ページ28
Aside
織田作は、多分…太宰さんが思っているよりもずっと、織田作は太宰さんについて理解していた。
心臓の近く、心の中枢に近いところまで。
「織田作……私は、どうすればいい？」
「人を救う側になれ」
織田作は云った。
「どちらも同じなら、佳い人間になれ。弱者を救い、孤児を守れ。正義も悪も、どちらもお前には大差ないだろうが……その方が、幾分かは素敵だ」
「何故判る？」
「判るさ。誰よりもよく判る」
太宰さんと織田作の視線が重なる。
織田作には確信の光があった。
何か強力な根拠に支えられた言葉であることは明らかだった。過去の経験か、誰かの助言か______かつて自分が通った道を、太宰さんに示そうとしている。
「……判った。そうしよう」
「"人は自分を救済する為に生きている。死ぬ間際にそれが判るだろう"か……その通り……だったな……」
織田作の表情から急激に血の気が失われつつあった。
青白い顔をした織田作は、震える手を私の目元に伸ばして、何時の間にか流れていた私の涙をそっと拭う。
「……死に際に泣いてくれる……友を持てるなんてな……」
『おだ、さく』
「咖哩が食いたいな……」
織田作は震える指で、コートから煙草を取り出した。のろのろとした動きで煙草を口に銜える。
燐寸を取り出したところで、指に力が入らなくなったようだった。太宰さんが燐寸を受け取って、煙草に火をつけてやっていた。
織田作は目を閉じて、火のついた煙草を吸い込み、満足そうに微笑んだ。
煙草が床に落ちた。
私たちは織田作の隣に膝を落としたまま、動かなかった。
横を見ると、太宰さんのきつく閉じた唇が小さく震えていた。
煙草の煙がまっすぐ立ち上っていた。
私の涙が落ちて床にあたる音だけがする。
誰も何も云わなかった。
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紅て漢字見た目良くない？(プロフ) - 漫画立原の見た目がタイプで私も立原くんが好きになりました！猟犬立原の猟犬の5人目明かすシーンはちょっと好きにさせようと完全にねらってきてましたよね (7月22日 19時) (
レス) @page6 id: 9e74623cf5 (このIDを非表示/違反報告)
松原来愛(プロフ) - 面白い・・・・!立原好きです!他の人が濃すぎて埋もれやすくないですか、立原くん。かっこいいのに・・・。 (7月22日 17時) (レス) @page6 id: a16c2d859c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：tonight | 作成日時：2023年7月21日 14時
