検索窓
今日:8 hit、昨日:24 hit、合計:51,281 hit

佰弐:考え事 ページ8

伏黒side

『違うそこは46だ』
「うぇ!?また間違ってる…!」
「アンタほんとに数学苦手なのね?」

たわいない会話が耳に入ってくる。手元のノートに文字を書きつつ、俺は3人の会話に耳を澄ませていた。
俺の課題は今やっているもので終わりだ。虎杖は数学があと半分、釘崎と榎森は既に終わらせて虎杖を弄りながら教えていた。

「(こうしていると、本当に普通の人間だよな)」

虎杖も榎森も普通の高校生だ。呪いなんて受けなければ普通に学校へ行って、普通に暮らしていただろう。

「(そう言えば、榎森の親知らねぇな…)」

虎杖は親の顔を憶えていないと少し前に聞いた。祖父が育ててくれたのだと話してくれた。じゃあ、榎森は?
あの顔、俺に似たあの顔は、もしかして……

俺の親父が関係してるのか?それとも母親か?

榎森はパッと見れば俺と兄弟に見える。いや、ほぼどんな人間に問うても兄弟と答えるだろう。髪から顔、何から何まで同じだ。違うところは背丈と声、目の色ぐらいだろう。
それほどまでに似ている人間を、呪術で簡単に作れるだろうか?
榎森の呪術は擬態だ。呪力が切れれば擬態も解けてしまう。呪術によって作られた人間か?いや、それなら意思疎通などの複雑な設定ができないだろう。
となると、自然に血縁の話になる。

「なぁ、榎森」

声をかける。榎森は『ん?』と声を出して俺を見た。

「お前、親の顔覚えてるか?」

俺の問いに榎森は『いや…』と首を横に振った。

「そう言えば、榎森の家族の話って聞いたことないわね。前に禪院家の出が居るってのは聞いたけど」
『俺もよく覚えてないからな。まぁ…小さい頃は宮城のばあちゃんの家で暮らしてたのは覚えてるぞ』
「え!?うっそまじで!?俺も宮城!!」
『虎杖もか。俺と同じだな』

和気藹々と話す中、榎森は少しだけ懐かしそうに笑みを浮かべていた。

『昔のことなのに、今でも鮮明に思い出せるな……』

佰参:古い記憶→←佰壱:三つの宝物



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (124 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
226人がお気に入り
設定タグ:呪術廻戦 , 男主   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

九龍(プロフ) - バナナプリンさん» コメントありがとうございます!現在は更新停止していますが、気が向いたらまた書き始めますので、その時はまたよろしくお願いいたします! (12月29日 22時) (レス) id: 69e5a75295 (このIDを非表示/違反報告)
バナナプリン - 一気に全部読んじゃいました!!オリジナルなのにこんなにしっかりとした深い作品ができるなんて!!すごい今感動しています!! (12月29日 21時) (レス) id: 2d27e83292 (このIDを非表示/違反報告)
九龍 〜くーろん〜(プロフ) - ラエルさん» コメントありがとうございます!頑張って更新しますね!! (5月23日 21時) (レス) id: 30fbc50707 (このIDを非表示/違反報告)
ラエル(プロフ) - 更新楽しみに待ってます (5月23日 17時) (レス) @page29 id: 2dd5f200d4 (このIDを非表示/違反報告)
15 - 一気読みしましたが、めちゃくちゃ刺さりました!乙骨君や伏黒君との関係もしっかり書いてあって凄く面白かったです!男主君のやり取りとか性格、全部好きです!文章力すごすぎです!終わりかたもすっきりしていて選択が出てきたときすごい感動しました! (2022年5月5日 1時) (レス) @page28 id: 62618493d6 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2021年1月29日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。