佰弐拾伍:新たな呪いが生じる ページ30
実said
「…で、俺達を呼んだってわけか」
安堵の溜息を漏らす伏黒に頷いてみせると、伏黒の隣に居た釘崎が「こんのクソ親父〜!」と俺が拘束した男性に殴りかかりそうになる。
そんな釘崎を虎杖が羽交い締めにして止める中、俺は先程泣きついてきた男性の方を見た。
伏黒達曰く、此処は俺が拉致られた場所からうんと離れた山奥の廃墟だったらしい。大方気絶している間に、この人が車で俺を此処まで運んだのだろう。
で、肝心のこの男性に関してなんだが……何やら訳アリらしく、俺が出ていこうとするのを泣きながら必死で止めてきたので、一応拘束だけして話を聞くことにした。
『俺の事を知って拉致ったみたいなんでな。何かあるんじゃねぇかと思って、一応三人にも話聞いて欲しくて呼んだ』
「ていうか拉致られたってさらっと言ってるけど、体大丈夫なん!?」
『問題無い。気絶する薬軽く嗅がされただけで、別に殴られたりはされてねぇ』
俺の事は後にして、こうして話してても時間が過ぎていくだけだし…
『早速、俺を拉致した理由を訊いてもいいですか?宇和田さん』
俺が男性の名を呼ぶと、宇和田さんは酷く疲れた様子で拘束されたまま俯いた。
「…まず、突然攫ってしまった事を謝らせて下さい。でも貴方を攫えば、妻と息子を助けてくれると言われて…」
「は?何よソレ、もしかして攫った側も誰かに人質取られてる的な話?」
「いえ、人質ではなく…。…数日前、私の家に一つの箱が送られてきたのです。誰から贈られたものかも分からない、綺麗な箱が」
箱、その一言に緊張が走る。思いつくのは、一つしか無い。
「その箱がウチに来てから、妻と息子が体調を崩すようになって…っ、もう僅かな命と言われるようになってしまった時に、袈裟をかけた男が私の所に現れてこう言ったんです」
"榎森実という青年を連れてくれば、奥さんと息子を助けてあげよう"と。
「…なぁ実、これって…」
『あぁ、コトリバコだろうな』
別にコトリバコってのはただ一つしか無い呪いってわけじゃねぇが、まさか今の世になってコトリバコを実行する奴が居るとは思わなかった。
もう一つのコトリバコ、袈裟の男……。一度五条先生に連絡した方が良いな。
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九龍(プロフ) - バナナプリンさん» コメントありがとうございます!現在は更新停止していますが、気が向いたらまた書き始めますので、その時はまたよろしくお願いいたします! (12月29日 22時) (レス) id: 69e5a75295 (このIDを非表示/違反報告)
バナナプリン - 一気に全部読んじゃいました!!オリジナルなのにこんなにしっかりとした深い作品ができるなんて!!すごい今感動しています!! (12月29日 21時) (レス) id: 2d27e83292 (このIDを非表示/違反報告)
九龍 〜くーろん〜(プロフ) - ラエルさん» コメントありがとうございます!頑張って更新しますね!! (5月23日 21時) (レス) id: 30fbc50707 (このIDを非表示/違反報告)
ラエル(プロフ) - 更新楽しみに待ってます (5月23日 17時) (レス) @page29 id: 2dd5f200d4 (このIDを非表示/違反報告)
15 - 一気読みしましたが、めちゃくちゃ刺さりました!乙骨君や伏黒君との関係もしっかり書いてあって凄く面白かったです!男主君のやり取りとか性格、全部好きです!文章力すごすぎです!終わりかたもすっきりしていて選択が出てきたときすごい感動しました! (2022年5月5日 1時) (レス) @page28 id: 62618493d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2021年1月29日 15時