佰捌：呪いの箱として ページ14
実side
『俺は「触れたものの呪力の有無を問わず融解し、自分の呪力にして吸収する」ことができる。触れなければ意味が無いが、外部からの呪力干渉は一切効かない。呪力はすぐに吸収するからな』
泥から脱出しようとする三人に懇切丁寧に説明する。チラリと五条先生を見ると、ニッコリと笑みを浮かべて頷かれた。そろそろこの辺りで止めとくか。戻れなくなったら怖いからな。
『逆に呪力の無い攻撃は普通に受ける。現に釘が刺さった箇所は血が出ているだろう？まぁ、どのみち反転術式で治るんだがな。そしてこれだ』
鼻背部を撫でる。横に引かれた短い黒い文様を撫でてから、小さく笑った。
『呪力を放出しての身体強化。複製が出来ない分、自分の体一つで戦わないといけないからな。あまり開放しすぎると完全に呪霊になるから今は怖くてできないが、後数段階は開放できるぞ』
術式を消すと三人はその場にドサリと座り込んだ。俺も少しふらついて地面に膝をつく。
やっぱり維持がきついな…っ、ずっと呪力を放っているような感覚が気持ち悪くて、すぐに指輪を右手に嵌めた。
『悪ぃ…ちょっと意識引っ張られた、大丈夫か…？』
顔を上げると、不意に釘崎が俺に向かって拳を撃ってきた。ぱしっと手で拳を掴むと「ふっざけんなよ…」と俯きながら震えていた。
「こちとらマジで殺されるかと思ったわ！少しは加減を覚えろっ！！」
『わ、悪ぃ…』
「とりあえず怪我治せついでに呪力返せー！！」
や、やめてくれ釘崎…俺も意外と体がきつい…。怪我は言われなくても怪我は治すが…
『虎杖、手を出してくれ。治してやる』
「サンキュ！それにしてもマジで強くね？弱点とか無い気がするんだけど」
『これでも普段より攻撃が当たりやすくなってんだよ。擬態が出来ないからな』
「あー、そっか。身を守るのも触らないと無理なのか。遠距離とかに弱くなった感じ？」
『そうだな。あと呪力の消費半端無ぇから、何回もできる業じゃねぇ。肉体の転換が一番呪力食うから、コロコロ変えて戦うのも難しいな…』
反転術式で手を治してやって、他の二人の怪我も治す。そこで限界が来た。
どっと疲れが押し寄せる。思わず後ろに倒れかかると、伏黒が支えてくれた。
『悪ぃ…』
「気にすんな。…新しい術式なんだ、無理すんなよ」
『嗚呼…』
背中に背負われる。伏黒の体温が温かくて、少しだけ眠気を誘った。
俺ももう少し、これに慣れとかないとな…
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 226人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
九龍(プロフ) - バナナプリンさん» コメントありがとうございます！現在は更新停止していますが、気が向いたらまた書き始めますので、その時はまたよろしくお願いいたします！ (12月29日 22時) (
レス) id: 69e5a75295 (このIDを非表示/違反報告)
バナナプリン - 一気に全部読んじゃいました！！オリジナルなのにこんなにしっかりとした深い作品ができるなんて！！すごい今感動しています！！ (12月29日 21時) (レス) id: 2d27e83292 (このIDを非表示/違反報告)
九龍 〜くーろん〜(プロフ) - ラエルさん» コメントありがとうございます！頑張って更新しますね！！ (5月23日 21時) (レス) id: 30fbc50707 (このIDを非表示/違反報告)
ラエル(プロフ) - 更新楽しみに待ってます (5月23日 17時) (レス) @page29 id: 2dd5f200d4 (このIDを非表示/違反報告)
15 - 一気読みしましたが、めちゃくちゃ刺さりました！乙骨君や伏黒君との関係もしっかり書いてあって凄く面白かったです！男主君のやり取りとか性格、全部好きです！文章力すごすぎです！終わりかたもすっきりしていて選択が出てきたときすごい感動しました！ (2022年5月5日 1時) (レス) @page28 id: 62618493d6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：九龍 -くーろん- | 作成日時：2021年1月29日 15時
