伍拾壱：胸を覆う靄 ページ5
伏黒side
｢申し訳ありません、渋滞に巻き込まれまして…｣
頭を下げる伊地知さんに｢構いませんよ｣と声をかけながら、目的地の確認を済ませて歩き出す。
車じゃ目的地の近くまでしか行けないらしく、目的地までは徒歩で行くことになった。多少の疲労は覚悟しておいた方がいいな。
｢なぁ榎森。邪視に会ったらさ、どうやって戦えばいいと思う？｣
俺の後ろから虎杖の声が聞こえた。伊地知さんと共に先頭を歩く俺は、少しだけ後ろに意識を傾ける。
大方、虎杖が榎森に絡んでるんだろ。いつもの事だ。距離感バカだからな虎杖は。
『視線での攻撃がどの範囲なのか、どんな効果なのか分からない以上、憶測になるが……見て発動するなら物陰に隠れた戦法、目を合わせて発動なら目をなるべく合わせない戦法を取るしかないだろうな』
｢うへぇ…俺出来るかな……絶対目ぇ合わせる気がする…｣
だろうな、お前は真っ直ぐ突っ込むからな。
『大丈夫だ、虎杖ならできる。お前にはお前しか出来ない戦い方があるはずだ』
優しい声だ。榎森の声が聞こえると同時に、虎杖の嬉しげな声が聞こえた。
｢ほんとか！？よっしゃーっ、なんかやる気出てきた！｣
『それは良かった。だが、一人で戦うものじゃない、皆が居るからちゃんと頼れよ？』
｢ん！頼りにしてるぜ、榎森！｣
『皆に言え皆に』
……………………楽しそうだな。
｢(俺だって話してぇんだよ)｣
何でもいい。それこそ任務の話で構わない。俺だって優しい声をかけられたい。あの目に、俺を写して欲しい。
｢チッ｣
手に力が篭もる。持っていたスマホを壊す前に、スマホをポケットにしまった。
｢あーぁ、男共の乳繰り合いなんて見てられねぇっての｣
不意に釘崎が俺の前に来て、しっしっと俺に向かって手を払った。
｢な、何だよ…｣
｢アンタ、顔に出てんのよ。そんなに混ざりたいなら行けば？私は御免だけど｣
な…っ、俺は別に……
｢……｣
チラリと見る。虎杖が楽しそうに榎森の肩に腕を回し、機嫌良く歩いているのが見えた。榎森も嫌そうじゃない。
｢……悪ぃ釘崎、任せた｣
｢はいはい、野郎共は後ろで遊んでな｣
溜息をつく釘崎を背に、後ろに行く。虎杖達の方に向かうと、榎森の肩に乗った虎杖の手を叩いた。
｢痛っ！何するんだよ伏黒！｣
｢馬鹿、ここから山道だぞ。下手な姿勢でいると榎森が転ぶだろうが｣
｢叩かなくてもいいんじゃねぇ…？｣
｢煩い｣
嗚呼、スッキリした。
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九龍-くーろん-(プロフ) - 日向さん» ありがとうございます！一気に読んで頂けるとは…！とても嬉しいです！更新頑張ります！ (2021年1月24日 21時) (
レス) id: 50fae09df6 (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - 初めまして！主人公の設定や周囲との関係、ストーリーなどがとても面白くて1作目から一気に読んでしまいました！応援してます、更新頑張ってください！ (2021年1月24日 20時) (レス) id: 0ceab624dc (このIDを非表示/違反報告)
九龍-くーろん-(プロフ) - 南蛮モナカさん» ありがとうございます！とても嬉しいです…！今後とも主人公達の道を見守って頂けると嬉しいです！更新頑張ります！ (2021年1月23日 0時) (レス) id: 50fae09df6 (このIDを非表示/違反報告)
南蛮モナカ - 設定とかキャラ達の関係性？とか話の進み方とかすっごく好みです！更新がんばってください！ (2021年1月22日 23時) (レス) id: 4ea39a9195 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：九龍 -くーろん- | 作成日時：2021年1月21日 17時
