捌拾伍:自覚と苦悩 ページ39
実side
目的地に着いて早速、俺と釘崎は廃墟にたむろする呪霊の討伐に乗り込んだ。車から降りる時に声と呪力の質を虎杖のものにしたからバレることはないだろう。
突っ込んできた呪霊を、呪力を纏った拳で叩き伏せる。虎杖の術式は使えないが、俺も似たような術式使えるんだよな。
『(それにしても…)』
残りの呪霊の数を数えながら思い出す。釘崎が車の中で言った事は本当なのだろうか。
虎杖と伏黒が、俺を好きって……
「次左!」
『はいよっと!』
釘崎の指示通りに左から迫る鼠のような歯を持つ呪霊の脳天に拳を突き込む。血を噴き出して倒れる呪霊の返り血を袖で拭きながら、頭から離れない思考にまた意識が沈んでいった。
大体、俺は男だぞ?それも元の姿が伏黒みたいなもんだ。虎杖もそうだが、伏黒も同じ顔なんかを好きになるか?
というか二人共女が好きだろ?それに俺はコトリバコの器だし、コトリバコの術式を取れば何も出来ない術師だし。そんなヤツ好きになるか?普通。
「ボーっとするなっ!」
突然頭にトンカチが振り下ろされ、ガツンッと頭を殴られた。
『何すんだよ釘崎!』
「アンタがボーっとしてるから喝入れてやったのよ!この馬鹿虎杖!」
『馬鹿じゃねーもん!』
普通の人間だったら死んでるぞ…!?俺が虎杖に擬態してから釘崎が容赦無ぇ!
ジンジンと痛む頭を押さえる。これ絶対タンコブできた…
『くっそー…、元はと言えば釘崎の所為だっての…』
まぁいい、今は目の前の呪霊を祓うのが先だ。
押し寄せる呪霊を淡々と叩き潰す。気配が次第に消えていくと、周りの空気がスッと晴れていく気がした。
『殲滅かんりょーう!』
「煩っ」
『だから酷くね!?』
仕方ないだろ、虎杖として振る舞わなきゃいけねぇんだから…
「おら、帰るぞ。ガキ共待たせんな」
ポンと肩を叩いて、釘崎は車の方に戻っていく。俺も虎杖らしくニッと笑いながら振り返って『おうっ!』と元気良く走り出した。
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九龍-くーろん-(プロフ) - 日向さん» ありがとうございます!一気に読んで頂けるとは…!とても嬉しいです!更新頑張ります! (2021年1月24日 21時) (レス) id: 50fae09df6 (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - 初めまして!主人公の設定や周囲との関係、ストーリーなどがとても面白くて1作目から一気に読んでしまいました!応援してます、更新頑張ってください! (2021年1月24日 20時) (レス) id: 0ceab624dc (このIDを非表示/違反報告)
九龍-くーろん-(プロフ) - 南蛮モナカさん» ありがとうございます!とても嬉しいです…!今後とも主人公達の道を見守って頂けると嬉しいです!更新頑張ります! (2021年1月23日 0時) (レス) id: 50fae09df6 (このIDを非表示/違反報告)
南蛮モナカ - 設定とかキャラ達の関係性?とか話の進み方とかすっごく好みです!更新がんばってください! (2021年1月22日 23時) (レス) id: 4ea39a9195 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2021年1月21日 17時