捌拾弐:元気は素晴らしい事 ページ36
実side
「えもりー!あしょぼー!」
『ん〜…』
「えーもーりー!」
読書中にも関わらず、虎杖が俺の服を引っ張ってくる。
伏黒は俺のトレーナーが気に入ったのか、ずっと匂いを嗅ぎながらベッドの上で幸せそうにゴロゴロしている。一方の虎杖は遊びたいのかずっと俺の服を引っ張っていた。
『…(今日は諦めるか)』
こんなにせがまれると、罪悪感が芽生えてきた。
栞を挟んで本を閉じ、虎杖を抱っこする。椅子に座ったまま膝の上に虎杖を乗せると、机の上に置いていた折り紙と折り紙の本を取り出した。
『折り紙しよう、虎杖』
「おりがみ!」
ぱぁあっと嬉しそうに笑顔になる虎杖。色とりどりの折り紙を出して机の上に広げてやると、「ふわぁ〜…!」と虎杖は目を輝かせた。
『好きな色とっていいぞ?』
「んっとね、これ!」
『赤か?』
「うん!」
赤い折り紙をとってやり、虎杖の前に置く。俺も青い折り紙を手にして、折り紙の本を開いた。
『んじゃ、手裏剣作ってみるか』
「にんじゃ!」
『ん、忍者だ』
「にんにん、にんじゃ〜♪」
『まずは…』と、手順を教えながら折っていく。虎杖も楽しそうに折り紙を折っていき、歪ではあるものの手裏剣が完成した。
『こんなもんか』
「はわぁ…!」
初めて(?)作った折り紙が嬉しかったのか、虎杖はキラキラした目で手裏剣を見つめた。そして俺の膝から降りると、一目散に伏黒の元に走っていく。
一方の伏黒は、トレーナーに埋もれながらじっと虎杖を見ていた。
「ふしくりょー!しゅりけんできちゃ!」
「………しゅりけん」
「しゅりけん!にんにん!」
「ぅ……」
上機嫌の虎杖をじっと見たかと思うと、伏黒はベッドから降りて俺の所に来る。そしてよじ登るように俺の膝の上に来ると、ぎゅっと俺に抱きついた。
『伏黒?』
「……えもりは、おれの…」
…え。
「あーっ!ふしくりょぢゅるい!おれもだっこ!だっこ!!」
「や……」
「おれもぉー!!」
ぴょんぴょんと跳ねる虎杖に、イヤイヤと首を振ってひしっと抱きつく伏黒。俺はこの小さな二人の可愛さに深々と溜息をついた。
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九龍-くーろん-(プロフ) - 日向さん» ありがとうございます!一気に読んで頂けるとは…!とても嬉しいです!更新頑張ります! (2021年1月24日 21時) (レス) id: 50fae09df6 (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - 初めまして!主人公の設定や周囲との関係、ストーリーなどがとても面白くて1作目から一気に読んでしまいました!応援してます、更新頑張ってください! (2021年1月24日 20時) (レス) id: 0ceab624dc (このIDを非表示/違反報告)
九龍-くーろん-(プロフ) - 南蛮モナカさん» ありがとうございます!とても嬉しいです…!今後とも主人公達の道を見守って頂けると嬉しいです!更新頑張ります! (2021年1月23日 0時) (レス) id: 50fae09df6 (このIDを非表示/違反報告)
南蛮モナカ - 設定とかキャラ達の関係性?とか話の進み方とかすっごく好みです!更新がんばってください! (2021年1月22日 23時) (レス) id: 4ea39a9195 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2021年1月21日 17時