呪箱異譚 -弐-

捌拾：子供の世話ほど難しいものは無い ページ34

五条side

ちょっと待って。
談話室でお菓子を食べていたら突然実が入ってきて、『先生どうにかしてください』なんて開口一番に言ってくるもんだから何かと思えば……何この面白い状況。

「ふしくりょいちゃい！」
「…や……っ」

実に抱っこされている子供になった恵と悠仁が、何か喧嘩してるんだけど。
というか恵が一方的に悠仁のほっぺ押して拒絶してるんだけど！何この可愛い状況っ！！

『笑ってないでどうにかしてくださいよ。どうせ呪いでしょ』

子供二人を抱えながら淡々と話す実に、僕は笑いを必死で堪えながら目に浮かんだ涙を拭った。

「あ〜、うん。確かに呪いだね。任務先で何か受けて戻ってきたんでしょ。その程度の呪いなら暫くすれば解呪されるさ」
『本当ですね…？』
「勿論！大体一日程度かな？明日には元に戻るよ」

僕の答えに、実は深く溜息をついた。その間にも恵によるイヤイヤは続いていて、悠仁が涙目になっちゃってる。可愛いな〜♪
見た感じ3、4歳かな？マシュマロみたいなほっぺにくりくりした目、可愛らしいおちょぼ口してる二人が、普段は…

「"五条せんせー！(手ブンブン)"」
「"……(嫌そうな目)"」

あれ、だからなぁ…。信じられないよね、人間の成長って凄いな…

『害が無いようで良かったです。じゃ、俺はこれで』
「ちょっと待った。二人共育てるの？」

僕の声にピタリと実が止まる。腕の中で今にも泣き出しそうな悠仁と、ムスッとした顔のままふてくされてる恵を見てから、実がキリッとした顔でこう言った。

『子供の扱いは慣れています』

…わぁ、やる気に満ちている……

「それならいいけどさ…。喧嘩のないようにね？」
『はい。では、失礼します』

一礼して部屋を出て行く実。いやはや、それにしても面白い呪いがあったもんだね。

「元に戻った時、記憶あるか聞いてみよ〜っ」

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