赤色に染まる白の君《3》 (ページ3)

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🐶気づかない内に起こる災難ページ3

ダルメシアside

何だ、何だよぉ…！自分の部屋で寝てたら、突然ドアがノックされて…っ、ちっとも知らない気配だから警戒してたらドアノブが激しく動き始めたんだ！

「グルルルル…ッ！！」

唸って威嚇してもドアの向こうに居るソイツは怯む気配が無い。僕が今林檎だからか！？犬の真似した林檎だって思われてるのか！？
でも、それでもコイツは部屋に入れちゃいけない！僕の動物としての本能が激しく警鐘を鳴らす。目の前のコイツは僕達みたいな生き物じゃない。だからこそ、絶対に入れちゃいけないのが分かる！

「ガルルルルルッ！！！」

牙を噛み鳴らして息を吐けば、青黒い毒の霧が部屋に満ちる。床の木材が僕の体から漏れたアップルの魔力に触れてたちまち林檎の木へと変わって、ドアの向こうのソイツを串刺しにしようと鋭く尖った枝を向けた。
ドアの気配が少しだけ鈍くなる。シン…とした静寂が訪れた瞬間、

ドアの向こうに居たやつが、ドアをぶち壊して僕の部屋に入ってきた。

「っ！！」

咄嗟に手を翳すと僕の意思に応えて無数の枝がソイツに突き刺さる。が、その真っ黒なやつはするりと枝の間を掻き分けて僕に襲いかかってきた。

「ナメるなよ！」

僕は今お姫様すら仕留めた毒林檎なんだ！！
手を勢いよく振って毒液を撒き散らすと、毒に当たった箇所からジュッて焼ける音がして黒いやつは悲鳴を上げて部屋の中で暴れまくった。僕はベッドにぶつかってきたそいつを避けるようにしてドアの方にジャンプして、何とか廊下にでることに成功する。そのまままた毒霧を吐いて目眩まししてから、一目散にアップルの部屋に向かって走った。
僕一人じゃ無理だ。せいぜい足止めぐらいしか出来ない…っ、せめてエースの斧があれば…！
そうだ、エース！エースの斧ならアイツやっつけられるんじゃないか！？

「エースっ！！」

バンッと勢いよくドアを開けると、部屋には何故か皆集合してた。

「お前、何で起きてんだよ！？」
「大変なんだエイトフット！僕の部屋に真っ黒なやつが入ってきたんだよ！ど、毒吐いて何とか逃げてきたけどっ、あれすっごい怖いよ！僕一人じゃやっつけられない！」

お化けとかじゃない、もっと別の怖いものだよあれ！

「…詳しく教えてくれないかな？」

そう言って前に出てきたのは、真剣な顔をしたエイトフット…じゃなくてマルフィだった。