赤色に染まる白の君《2》 (ページ48)

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🍎その気にさせるこの身が悪いページ48

アップルside

「”とりあえず元に戻るまで各自安静にしていた方がいいだろう”」

そう提案したマルフィの言葉通り、私達は普段と変わらない一日を過ごすことになった。
自分の部屋に戻り慣れない身体で椅子に座る。体内の魔力も安定はしているが、このペンキのように流れるサラサラとして軽い魔力の質にまだ慣れないな。

『……』

エースの体か。手袋を外してじっと手を見る。白い肌に少し骨ばった手だ。この手で彼はあの金色の斧を毎日振るっているのか。信じられないな。
私より小さな口、艶やかな肌、男らしい喉元に癖はついてるがサラリとした髪。あちこちを指先で触れているだけで、この肉体が彼のものなのかと実感する。

『……エース』

漏れ出た声は聞き慣れた声で、少し高めだがしっかりと男と分かる声が甘ったるく彼の名前を呼ぶ。少しの間考え込んだ私は、徐に体へと視線を移した。
帽子、ハートマーク、胸元の装飾、それらはあのトランプと真逆になっているが、上着のボタンの位置だけは同じになっている。赤いハートのボタンを外せば黒いシャツに赤いベストが顕になり、ベストの上からでも分かる胸の筋肉にそっと触れてみた。

『(何だか、いけないことをしている気分だ)』

触れたことの無い肉体が、今は私のものになっている。しなやかな肉付きの胸は柔らかく、首元のネクタイを外してベストを脱げば、真っ白な肌が顕になった。

『………』

喉が鳴る。シャツのボタンを外して、前を開けてみる。ほっそりとした体は引き締まっていて、何者にも触れられていないかのように真っ白だ。細くしなやかなのは曲芸めいた動きを多くするからだろう。踊り飛び跳ね、掴めない動きをするからこそ付いた筋肉だ。

『……』

ふと、好奇心が湧いた。指先を唇に持っていき、わざとらしくなぞる。そのままエースを思い出して目を瞑った。

『……アップル』

甘く囁く。なぞられた唇の感触、柔らかな指先の感触、それら全てを彼がやっているように想像する。

『アップル………、アップル………』

ぞくりとした感覚を覚えて、私はそのまま指を口の中に入れた。舌先を弄り、音を立てて指を遊ばせる。

『ん、はふっ……んぅ…………っ』

嗚呼、なんて甘い声だろうか。
溢れ落ちる唾液が顎を伝い胸に落ちる。口の中を弄られるだけで、この体は熱を帯びるのか。
指を引き抜いてキスをしながら、不自然にうっすらと盛り上がるズボンを見て、薄く笑う。

そう言えばまだここは許していなかったな。