🐙俺に相談するとロクな目に遭わないぜ？ ページ26
エイトフットside
時刻は夜を過ぎて8時。大体のやつは夕飯か部屋で寛いでいる時間だろう。ま、俺はずっと仕事なんだけどな。
「で？俺にご相談ってか」
手元の書類にサラサラと文字を書き込みながら、椅子の背もたれを前にして座るエースをちらりと見ると、なぁんか眉間にシワを寄せて『ん〜…』って唸ってやがった。
『まぁね…。僕もデートなんて初めてでさ、レディ達に色々お膳立てされちゃったけど、冷静になって考えたら二人の意見聞かずに決めちゃってよかったのかな〜って』
「いいんじゃねぇの〜？二人に聞いた所で「"コイツとは一緒に行きたくない"」の一点張りだろうがぁ」
『それもそうか』
つーか本当にあの二人とお付き合い始めたのかよ……凄ぇな、あの顔合わせたら睨みあう二人をよくまぁ手綱掴んでることで。
「他に心配なこととかあるのかぁ〜？今なら代価ありで叶えますよ〜」
『いつもと一緒じゃないか。遠慮しておきます〜、パンプキンソフトしか出せませ〜ん』
「寧ろ今それ欲しいわよこせ」
『夜に甘いものなんてヴィランズ〜』
「だろぉ〜？」
あ〜、コイツと一緒に話すのは気が楽だぁ〜。たまーに面倒くさいことになるが、マルフィと同等で話しやすい…
『まぁ不安とかはあるけど今は特にかなぁ。初めてのことに不安になるのは仕方のないことだし』
ポンッと音がして見てみれば、エースがいつものように注ぎ口が3つあるポットで紅茶を淹れるのが見えた。何であれ零れねぇんだ。いっつも不思議に思うんだよな。
『はいどーぞ』
「気が利くじゃねぇの」
『相談料ついでの労いさ。あ、ソフトは出せないけど手もベタつかないマカロンあるよ？』
「高カロリーなもん勧めてくるなんてヴィランズ〜」
『でしょ〜？』
ポンッと出てきたマカロンを口に咥えながら書類を書き進める。エースも椅子に座ってもそもそとマカロンを食べていると、不意にエースが目を伏せて暗い顔をした。
「？どした」
『…ねぇジョー、僕はちゃんと二人を好きでいられるかなぁ…？』
「……さぁな。俺はトランプ兵の一生なんて知らねぇからな」
そう言って頭を撫でてやると、エースはキョトンとした後微笑んだ。ん、お前はマヌケな顔してる方がお似合いだ。
「食ったら出てけよ〜」
『はーい』
こんな長閑な時間を、今のお前と少しでも多く過ごせたらいいもんだ。
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作者名：九龍 -くーろん- | 作成日時：2022年10月20日 0時
