検索窓
今日:1 hit、昨日:19 hit、合計:7,128 hit

♡嗚呼、なんて不愉快なことだろう! ページ22

エースside

『此処か…』

スキャターと書かれたドアの文字を確認して、僕は予定表を手に軽くノックした。
角を右に曲がって四番目の部屋、ヴェール嬢の言う通りだったな。

『……?』

あれ?返事が無いぞ。

『すみませーん』
「あっ…あの〜…」
『!』

横を見るとスーツ姿の女性がそこに立っていた。メガネを掛けていてしっかりしてそうな雰囲気はあるけど、どこか抜けているような感じの女性だ。

「此処は関係者以外立入禁止なのですが……」
『知ってるよそんな事。僕はVの使いだ』
「!ミスターの使いの方?ご要件は…?」
『これ、リクルーティングの予定表。昨日伝え忘れたらしいから持ってきてあげたんだ』

予定表を渡すと彼女は「ありがとうございます!」と笑顔でお辞儀をした。礼儀はなってるじゃないか人間のくせに。でも赤くないな、ペンキで真っ赤に染めてやろうかな。

「でも珍しいですね、人間の方を使いの人にするなんて…」
『……は?』

人間…?

『誰が人間だって?』
「え?」
『聞き捨てならないな。僕が人間だと本当にそう思うのか?』

近づいて睨みつけてやると、ソイツは一歩後退りした。何をどう見てそう思ったんだこの小娘は。

「で、でも雰囲気が私と同じ…っ」


は?


『何だ?僕が人間みたいだとでも言うのか?』

無性に腹が立つ。目の前の女に近づいて、僕は見下ろすように言ってやった。

『良いか人間。僕はハートのクイーンの手下、エース・ハートだ。女王様の作られたトランプ兵の中でも一番優秀なこの僕が、人間のような下賤な存在と同じだって?』
「す、すみません…!そういう意味で言ったつもりは…っ」
『何をどう見てそう思ったのかは知らないが、気をつけることだね。ただでさえ赤じゃなくてイライラするのに、僕に無礼な言葉をかけたら…』

片手に斧を出して首筋に突きつける。金色の刃に「ひっ」と声を上げても、僕は全く気にしない。


『首を刎ね落としてやる』


「斧を降ろせ、エース」

背後に向けられた刃物の気配に、視線だけ後ろに向ける。いつのまに来たのか、ホックが僕に鋭い鉤爪を向けていた。

「スキャターが無礼を働いたなら謝ろう。だが館内での魔法の行使は禁止されているはずだ。落ち着いて"空間を直せ"」
『……』

ぐにゃりと歪んだ廊下、窓、天井。ああ、つい魔法を漏らしちゃったか。

『ごめんよホック。僕も気が立ってたんだ、許してくれ』

斧を降ろして空間を戻すと、彼女は小さく溜息をついた。

🏴‍☠奇妙な男だ→←♡何気にあんまり交流無いんだよね



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (10 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
13人がお気に入り
設定タグ:ヴィランズ手下 , 男主 , ディズニー   
作品ジャンル:ファンタジー
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2022年10月20日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。