赤色に染まる白の君《2》 (ページ21)

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♡何気にあんまり交流無いんだよねページ21

エースside

朝食を食べ終えた後、予定表を帽子にしまい込んで僕は部屋を出た。
Vからのおつかいとはいえ女子の前に出るんだ。身嗜みをしっかりしていないと格好つかないからね。

『マルフィ～？』

マルフィの部屋の前でコンコンとノックすれば、ガチャリとドアが開いて紫色のシャツ一枚のマルフィが出てきた。

「やぁ、待っていたよ」
『休日って上着脱ぐタイプなんだね』
「まさか、部屋の中だけだよ。さ、行こうか」

ドアの近くにかかっていたハンガーから上着を取って着るマルフィは早速とばかりに歩き出す。僕も後に続いて暫く廊下を歩いていくと、廊下の先に現代に続くドアとは違う赤いドアが現れた。

『わぉ、真っ赤なドアだね』
「このドアだけが女子棟と繋がっているんだ。普段は通行できないけれど、Vのおつかいなら通れると思うよ」

マルフィがドアを開けると、なんとその先は真っ暗だった。まるで真っ黒に塗り潰したような空間が広がってる。でも不思議と怖くはないんだ。

「行ってらっしゃい。ジャックと間違えられないようにするんだよ」
『はーい』

ドアの向こうへと歩いていく。トプンッと水の中に入るような感覚が一瞬した後、僕は同じででも違う雰囲気の廊下に出ていた。
振り返ってみると相変わらず真っ黒な空間が続いている青いドアがひとりでに閉まった。帰りはここから帰れば良いんだな。覚えておかなきゃ。

『(確か…スキャターとかいう人間に予定表を渡せば良いんだったよな…)』

人間かぁ…。正直人間は嫌いだ。まぁ仕事だから会いに行くけどね。でも赤色じゃなかったら首刎ねていいかな？
廊下を歩いて部屋の名前を見ていく。スキャター…スキャター……、ここには無いのかな。

『談話室に行ってみよう』

談話室は共有だし、誰か居たら場所聞けるからね。
廊下を進んで談話室を目指していると、不意に右側のドアが一つだけ開いた。

「あら？」
『…！』

ヴェール嬢…！

「あらエースさん！どうしましたの？此処は女子棟ですわよ？」
『Vから頼まれてスキャターって人間に予定表渡しに来たんだ。でもヴェール嬢が居るなら君に任せようかな』
「そうでしたのね！でもごめんなさい、私これからハーデスさんのお部屋にお邪魔しに行くところですの」

そっか…。レディの邪魔はしちゃいけないよなぁ…

『そっか、それはすまなかったね。あ、じゃあ場所教えてくれないかな？』
「ふふ、良いですわよ」

ヴェール嬢は優しいなぁ。なんとか辿り着けそうだ。