赤色に染まる白の君《2》 (ページ17)

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❤調子が狂うんだよね！ページ17

ジャックside

『…行っちゃった……』

呆然とするエースの声に溜息をつく。アイツ、何も出てくこと無いじゃないか。

「(……初めて見たかも)」

あのいっつも澄ました顔で喧嘩ふってくるアイツが、まるで迷子の子供みたいな顔をしていた。…なんか調子狂うよ、もう…

「エース、あのさ」

声をかけると、エースは『何？』と不安げに僕の方を見てきた。

「エースはさ、どっちが好きなの？」
『…？』
「だから、僕と毒林檎のどっちが好きなの？」
『…！…えっと、それはどっちか選ばないといけない？』

…いや、別にそういうわけじゃないけど…

『僕はどっちも好きだよ。どっちも大切な仲間で、その…居ないといけない存在だし……それに一人欠けたらリクルートに支障が…』
「…ん？」

あれ、なんか雲行きが怪しいぞ…？

「ちょっと待ってエース。…好きなんだよね？」
『？うん』
「それは恋人として？仲間として？」
『？恋人って何？』

………。

「僕と同じじゃんっ！！」
『えっ、何が！？』

エースも僕と同じで恋人とかレンアイを知らないタイプだった！そうだね、僕達トランプだもん！それにアリスもレンアイとかまだ未経験な歳だったし！！知らなくて当然だよね！！

「あー…えっとね？エースのそれもとても大切な気持ちだけど、僕達の好きはそうじゃないんだよ」

エースの前に座って手を取る。不思議そうに見つめてくるエースを見つめて、ちょっとだけ恥ずかしくなりながら僕は続けた。

「僕と毒林檎の好きは、エースが居ないと駄目なんだ。エースを見ると抱き締めたくなったり、キスしたくなったり…逆に居ないと胸が苦しくなって動けなくなる。お前が居ないと、何にも出来なくなりそうな好きなんだ」

自分でそこまで言って僕は気づいた。さっき強く当たったけど、今まさに林檎がその気持ちを味わってるんじゃないか？って。
好きな人に好きって言えなくて、知らない所で利用されて好きな人に手を出しかけた。きっと…僕だったら首を刎ねられに行くほどのショックだろう。

「……エース、アップルの所行ってあげて」
『…！』
「きっと落ち込んでるだろうからさ。僕が行ったらまた喧嘩するし、エースが行ったほうが落ち着くと思うんだ」

今回だけは、林檎が何しても許してやるよ。

『…ありがとうジャック。すぐ戻る』

そう言って立ち上がったエースは、僕の手にキスをして部屋を出ていった。

「何処で覚えてくるんだあんなの…！」

ドキドキしたじゃないか！