❤やっと会えた! ページ6
ジョンside
『…誰だ』
「あ〜、やっぱり忘れてるよね。さっきも話しかけても聞こえてなかったみたいだし」
『さっきって、俺は初めて…、…!』
「あ、思い出した?さっきの手紙、あれは僕が君に贈ったんだ!」
目の前の男はそう言って嬉しそうに笑った。俺から見て左の頬にハートマークが描かれているその男はいかにも"ハートの女王の手下です"とばかりのハートマークだらけの服装をしている。もしかして…
『お前、兵士かなんかか?』
「え?」
『此処ってハートの女王の城だろ?となるとお前はトランプ兵じゃないのか。ハートマークだらけの服着て主張してるし』
「正解!僕はトランプ兵、ハートのジャックさ!ジャックって呼んでくれてもいいよ!寧ろそう呼んで欲しい!」
なんかコイツ、怖いぐらいに陽気だな…
というか夢にしては凄く精密すぎやしないか?夢の世界ってこんな…「はっきりしてるか、でしょ?」…!?
「夢じゃない。いや、夢なのかもしれない。此処は君と僕のワンダーランド、たった二人だけの夢の国さ!」
ジャックと名乗る男が手を叩くと、周囲がぐにゃりと歪む。あっという間にあのお茶会のテーブルが出現すると、ジャックはポンッと音を立てて何もない所から注ぎ口が縦に3つ並んだポットを手にした。
「折角再会できたんだ!お祝いのお茶会でもしよう!」
『待て、再会って俺達会ってな「かんぱーい!」話を聞け!』
無理やり押し付けられたティーカップにカツンッとジャックのティーカップがぶつかると、ジャックは自分の分のお茶を飲んでクルクルと楽しげに踊る。俺は訳が分からないまま、とりあえず目の前の椅子に座ることにした。
「いやぁ〜それにしても大きくなったね!僕が会った時はこーんなに小さかったのに!」
そいつは俺をじっと見てからティーカップを放り出して両手を大きさを表すように掲げる。放り出されたティーカップはカシャンと音を立てて壊れたが、本人は気にしてないようだった。
『…俺は覚えてない』
「だろうね!でも僕は覚えていたよ。小さな君をずっと覚えていた!また会えるその日までずっとね!」
そいつは本当に嬉しそうに笑って、自分の頬を引っ張った。
「君は僕に"姿"をくれた親友、いや、
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2022年10月11日 21時