赤色に染まる白の君 (ページ27)

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👿それは意外なものでページ27

マルフィside

「連れてきたぞ」
「おや、早かったね。もっと掛かるかと思った」
「私の毒を舐めるな」

自室を訪ねてきたアップルポイズンに声をかけると、彼は少し顔を顰めた後、手を取って連れてきた彼を自分の前に連れ出した。

「そこに座れ」
『……』

彼が言うとエースは素直に私の向かいの椅子に座る。その口端からは薄紫色の液体がツゥ…と零れていて、目も真っ黒に見えるほど虚ろだ。寝ている、というより意識が無いに近いだろう。

「凄いな。私の催眠でもここまで強力な支配は出来ない」
「毒を頭を中心に染み込ませたからな。頭さえ取ってしまえば末端を侵さずとも操れる」
「流石白雪姫の女王の手下だ。トリッキーな使い方をする」
「で、どうするつもりだ」

もう一つの椅子に座るアップルに私は笑ってみせた。何って、決まってるじゃないか。こんな回りくどいやり方で連れてくるからには、やることは一つ。

「聞き出すんだ。無意識の彼からね。君は一体何者なのかを」
「…？ただのトランプ兵だろう」
「そうかもしれない。でもそれはジャックと彼の言っていることだ。彼がそう言っているから自分も、なんて思い込みがあるかもしれない」

それに、彼からはしてはいけない臭いがしたことがある。その理由も突き止めたいからね。

「自白させることは？」
「成分を調整すれば問題ない。…行くぞ」
「嗚呼」

アップルがエースを見ると、途端にハートの彼の体がビクンッと跳ねる。まるで体の中で何かが動いているかのように『あ゛、ぅ゛…っ』と小さく声を漏らしてビクビクと数回痙攣すると、また静かになった。

「…君に聞きたいことがある。君は誰かな？」
『……ぼ、くは……ハートの、じょおう、の、手下……ハート、の…エース……』

小さな声は予想通りの声を漏らす。私はふぅと一息ついて、瞳に魔力を込めた。
私の目は妖精特有の目だ。魔力を視認し、嘘を見破る。その力を使った状態で、再度同じ質問を投げかけた。

「君は誰かな？」
『……ぼく、は……ぼ、く……は……』

……ほう、成程。これは実に…

「どうだ」
「予想通りだ。言葉に魔法がかけられている、しかも強力な暗示の魔法だ。精神を侵す魔法が得意なのは彼しか居ない」
「…つまり、お前の予想は当たりということか」
「well,well…実に面白いことになったじゃないか」

ジャック・ハート。君は一体この彼の"何"を隠しているんだ。