🍎面白いものを見つけた ページ23
アップルside
「いやぁ、傑作だったなあの顔!実に面白かった」
「私を巻き込むのは止めろ。ただでさえ奴と会うと不快になるというのに…」
機嫌よく紅茶を嗜む鴉の声は今の私にとっては不愉快な音だ。全く…本来その紅茶はエースに振る舞う予定だったというのに…
「まぁそう言うなって。お詫びにいい話してやるよ」
「いい話?」
「マルフィ持参の話だけどな」
「嗚呼、あれかい?アップルとジャックが言い争っている時に話した…」
「そうそうそれだ」
何の話だ。手にした紅茶のカップを持ちながらソファに腰掛けると、マルフィは一度カップを置いて話し始めた。
「
「……確かにそうだが、それは双子好きを狙った勧誘方法ではないのか?」
「そうかもしれねぇけどよ、それにしてはジャックの執着が半端ないだろ。今までお前とエースが一緒に居ても何も言わなかったのに、今日に限って口出したりよぉ」
「…どういうことだ。結果を言え」
長話はあまり好きではない。果実の一齧りのように簡潔に話してほしいものだ。
「つまり、ジャックとエースには我々が思う以上の何かがあるかもしれないと言うことだ。現に今日のリクルート、試しにジャックとエースを離してみればまぁ……なぁエイトフット」
「おう、ずっとエースを見てんだよアイツ。ちゃんとオキャクサマへの対応はしてたぜ?でも意識が完全にエースに釘付けだった。まるで監視してるみてぇにな」
「……監視か。それは、同僚に向けるものではないな」
「そうだろう?それに彼の日頃の行いもそうだ。彼の手を引いたりする時は力が強い。特に誰かと一緒に居た後だと腕を掴んで連れ去っていく。まるで主人と隷属だ。彼らには、いや、エースには何か我々には言えない何かがある気がしてならないんだよ」
言えない何か……。紅茶を一口飲んで考え込む。たとえそんな物があったとしても、私には関係ない気がするが……
「暴きたくないか?秘密」
ふと聞こえた声に視線を移すと、エイトフットはいやらしい笑顔を浮かべていた。
「誰かのお気に入りってのを奪うのも楽しそうじゃねぇか。なぁ?毒林檎」
「……そうだな」
奪う。その甘美な言葉はそそられる。命を奪う毒林檎である私は特に。
「あまり遊びすぎないようにね。ジャックにバレたら大変だ」
「勿論だ」
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2022年10月11日 21時