♡珍しい顔を見た ページ22
エースside
リクルーティングも終わり、皆揃ってハイタワーへと戻った時だった。
「もう!皆僕とエースを離そうとしてただろ!」
突然ジャックが叫んだ。しかも結構な大声で。
『どうしたんだジャック。ちょっと離れるぐらい良いじゃないか』
「良くない良くなーい!滅多に会えないのに皆酷いよ!」
「いや仕事中にいちゃつかれるこっちの身にもなれよ」
「私は楽しかったよ。揃いの装いが出来たからね」
「僕だってできるし!次からは絶対離れないから!」
『ジャック、仕事が出来ないよ離れてくれないと』
「エースー!そんな悲しいこと言わないでー!」
どうしたんだ一体……いつもなら飄々とからかって楽しく笑うじゃないか。そんなに嫌だったのか?
「煩いと思えば…またお前か。いい加減エース離れしたらどうだ」
『やぁアップル、君もお疲れ様』
「げっ、毒林檎…!!」
「げっ、とは失礼だな。やぁエース、君も相変わらず煩い奴の相手をして大変だろう。紅茶でもどうかな?」
『いいね、丁度喉が渇いてたんだ』
それに紅茶は好きだ。僕がアップルのもとに行こうとすると、ぐっと腕を掴まれて後ろに引かれた。
「駄目!ぜーったい駄目!毒林檎の出す紅茶なんて不味いよきっと!僕と一緒にお茶会しよ?ね?」
「貴様…、まさか私が毒を盛るとでも思っているのか?」
「お前の専売特許だろ毒を盛るのは!心配で一緒になんて居させられないよ!」
『……ジャック、流石に失礼だぞ。それに僕は紙だから大丈夫だ』
どうしてこうも心配性なんだ。今日のジャックはなんだかおかしいぞ…?
『すぐ戻るから、約束するよ。だから手を離し「駄目」…ジャック、大丈夫だって「大丈夫じゃないから言ってるんだ!!」…!』
な、何だよ突然…
「………帰るよ」
『え、あ、ちょっと!』
引かれる腕が痛くて、驚いた僕はそのままジャックについて行ってしまった。どうしたんだ一体、怒ってるのか?アップルが嫌いだからってこんな態度取るのは初めてだ。本当に今日の彼はおかしい。
『っ、ジャック、腕が痛いよ。力を緩め…』
"痛いよ、離してジャック!"
『っ………!』
何だ今の。頭の中で、声が……
ズキッと痛んだ頭に顔を顰める。真っ暗な廊下の中、ギィと開いたドアの音と共に僕は部屋の中に放り出された。
「…ねぇエース。何で君は言うことを聞いてくれないの」
その声は、聞いたことがないほど…酷く冷たかった。
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2022年10月11日 21時