散らばる星はその地で輝く -9-【短編集】

《リクエスト》女の子でも君が好き -3-【トーマ】 ページ9

トーマside

朝起きたら、オレの弟が妹になっていた。

……いや、信じられないかもしれないけどさ、本当の事なんだよ。
オレだって最初見た時はそりゃあ天地がひっくり返る程びっくりしたさ！だって朝起こしに行ったら、物凄い別嬪さんが弟の部屋で寝てたんだから！

とまぁ、理由は分からないんだけど…オレの弟は今女の子の体になっちゃってね……。若とお嬢にも相談したんだけど、特に具合が悪いって訳でも無いし、本人も『"仕事ぐらいできます！"』なんて言っちゃったから、今フウマはお仕事に行ってます。

「(そろそろ帰ってくるかなぁ……？)」

洗濯物を畳みながら時計を見ればもうお昼で。この後昼ご飯作らないとなぁなんて思いながら、畳んだ洗濯物を箪笥に仕舞っていた、その時だった。

『ただいまぁ〜』
「あ、お帰りフウマ、ァ！？」

ちょ、ちょっと！？どうしてそんなにボロッボロなの！？

「な、何があったんだフウマ！あぁ……っ！こんなボロボロじゃないか！！」

帰ってきたフウマはまるで崖から落ちたんじゃないかってぐらいボロボロだった。服はズタボロに引き裂かれていて肌が見えてるし、擦り傷切り傷打撲…たくさん怪我をした姿で帰ってきたんだ。
あんなに綺麗な髪もボサボサになって髪留めが解けてるし…！何があったんだ本当に…！

『いやぁ〜……野武士に襲われかけてさ。抵抗したんだけどいつもより力が弱ってて苦戦しちゃって…』

え……の、野武士に、襲われた……？

『でも全員ぶっ飛ばしたから安心し＿＿』


「ごめん」


ぎゅっとフウマを抱き締める。小さくて柔らかい体は確かに非力に見えて、酷く胸が痛んだ。

「ごめん…っ！兄ちゃんも一緒に行けば良かった…！」
『い、いや、そんなに気にしなくても……』
「だってこんなに酷い怪我をしてっ、服だってボロボロで…！折角綺麗で可愛いのに、こんな……っ」

失念してた。そうだ、フウマは今女の子なんだ。いつも何でも一人でやっちゃうから、今回も大丈夫だろうって思って安心してた。

「今日からオレも一緒に行動するから！とりあえず怪我の手当てさせて！」

今の彼を一人にしたくない。普段よりもっと気をつけて気にかけないと！

『わ、分かったから！分かったからあまり強く抱きしめないで！』
「あ、ご、ごめん！！」

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