身も心も僕のものに決まってるだろ【放浪者】 ページ41
ツヴェートside
今日は最悪の日だ。別に今に始まった事じゃないけど。
相変わらずドラゴンスパインの寒さは尋常じゃない。人間と同じように造られたこの身にも、凍土の寒さは突き刺さる。
『っ……』
そんな寒さの中で怪我を負えば、体はすぐに熱を失う。
『(よりにもよって、こんな場所で……っ)』
ちょっとした事故だ。ウチの部隊の奴が宝盗団と内通して物資を横流ししていたのが発覚したから、俺が出向いて"お話"しに行っただけ。
"お話"はそれはもう順調に行ったんだけど、少しだけ予想外の事が起こってね。それは俺が大体の奴らを寝かせたと思っていた時に起こった。
「"この…っ、化け物がっ！！"」
そう叫んで特攻してきた奴が居たんだよ。で、俺はまんまとソイツの持っていたナイフを胸に受けた。
勿論ソイツは殺した。ナイフが刺さると同時に、刺し違えるように殺した。でも血が止まらなくて、全員始末したのを確認してから宝盗団の拠点を離れた後、自分の拠点に戻る途中から意識が朦朧としはじめていた。
『(流石に血を失いすぎたかなぁ……っ、あー……最悪……)』
さっきより流れは緩やかになったけど、未だに胸の傷からは血が流れ続けている。止血しようと胸の傷口を押さえても、生意気な事に毒血は指の隙間から流れ落ちていった。
純白の雪に赤い雫が点々と続いていく。雪を踏み締める足音と、自分の荒れた息遣いしか聞こえない。
もうすぐだ。もうすぐで核心の近くにあるテントに着く。部下の一人二人居るだろうから、彼らに頼んで軽い止血ぐらいはさせてもらおう……っ。
『……っは』
ほんと、今日はとことんツイてないみたいだ。
吹雪が覆う視界の先には、新たな宝盗団の姿があった。しかも大柄な奴らが5人。首元に巻いた赤いスカーフは、さっき俺が始末した奴らの物と同じだった。
『ほんと、最悪……っ』
まだ相手は俺に気づいてない。迂回するか？いいや、迂回なんてしている時間は無い。
刻一刻と体の機能が低下している。手足は痙攣を起こし、意識もどんどん暗闇に引き摺られている。このままじゃ失血死か凍死するだろうなぁ……。
「…！おいっ、居たぞ！」
あーぁ……気づかれた。
『全く……っ、考えさせてもくれない、なんて……っ』
神の目の元素力を引き出そうとした、その瞬間。
『(あ、やば……)』
ぐらりと視界が傾いて、武器を持って走ってくる宝盗団を最後に、ブツリと意識が途切れた。
身も心も僕のものに決まってるだろ【放浪者】→←《リクエスト》愛らしい君の耳元に触れたら -6-【放浪者】
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 64人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆらぎ(プロフ) - いえいえ、全然オーケーです！！こちらこそ採用してくださりありがとうございます！ (5月5日 1時) (
レス) id: 8914fbacd3 (このIDを非表示/違反報告)
九龍(プロフ) - ゆらぎさん» コメントありがとうございます！エヴァは私があまりよく知らない作品でして……申し訳ありません……。ですがシチュエーションはとても良いと思いましたので、そちらを採用させて頂きます！満足にリクエストに応えられず申し訳ありません！ (5月4日 10時) (レス) id: 69e5a75295 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらぎ(プロフ) - リクエスト受理してくれてありがとうございます！またリクエストでエヴァンゲリオンってできますか？エヴァに取り込まれた主人公組とパイロットの恋人組、みたいな、、？無理を承知ですがお願いします！ (5月3日 19時) (レス) id: 8914fbacd3 (このIDを非表示/違反報告)
orchid~オーキッド~ - ありがとうございます！よろしくお願いいたします！ (5月1日 13時) (レス) id: 47c56abe73 (このIDを非表示/違反報告)
九龍(プロフ) - orchid~オーキッド~さん» リクエストありがとうございます！話数的に次回に回ると思いますが、書かせて頂きます！ (5月1日 1時) (レス) @page50 id: c0b6840b43 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：九龍 -くーろん- | 作成日時：2024年3月8日 21時
