ようこそ、運命の人よ -4-【現パロ・スメール】 ページ22
▽▽side
一週間が経ち、俺達5人の内3人が行方を眩ませた事件は学校を巻き込む程の大事となっていた。
誘拐犯の仕業、家出、様々な情報が交差していく。だがそんな情報は全て、俺には何の関係も無かった。
《ただいま》
家に帰っても何の返事も返ってこない。それもそうだ。俺の両親は俺に無関心だから。
いつも通りしんと静まり返った廊下を歩き、二階へと続く階段を上がる。部屋に入って荷物を投げ出し制服を脱げば、ガチャリと勝手にドアが開いた。
「▽▽お帰りなさい。ご飯は置いてあるからレンチンして食べなさいね」
《分かった》
「それとお母さん仕事に行ってくるから、ちゃんと勉強するのよ」
《うん》
毎度言われているんだ。そんなの分かっている。勝手に部屋に入られるのもいつもの事だ。
「あとゲームはしちゃ駄目よ」
母はそう言って、勝手にコードを抜いて俺のゲーム機を持ち上げた。
「貴方は成績も良くて運動もできるんだから、遊んでないで勉強を沢山するべきよ。いいわね?」
《……友達とチャットできない》
「携帯があるでしょう。それでしなさい」
無理だろうな。携帯は10分しか使えない。それを過ぎると自動的にロックが掛かって12時間も使えなくなる。
だからゲーム内のチャットで話していたのに、遂にここまで監視が入るのか。
パタンと閉じられたドアの向こうで足音が遠ざかっていく。深く溜息をついて着替えを済ませてから、夕飯を取りに一階へと降りた。
「だから何度も言ってるだろう!?お前が使い過ぎるからどれだけ働いても金が貯まらないんだっ!」
嗚呼、また始まった。
「貴方がいちいち同僚と飲みに行かなければお金だって貯まるのよ!私だって高い学費と生活費を補うだけで精一杯なのに、どうしてそう無駄な事ばかりにお金を使うの!?」
「無駄!?付き合いのどこが無駄なんだよ!?」
いい加減にしてほしい。そんなに学費が負担なら転校でも何でもすればいいだろうに。
まぁいい、どうせ仲裁したって俺の居ない所でまた再熱するだけだ。無駄だ。何をしても何もかも無駄。なら面倒を避けるように過ごせばいい。
両親の喧嘩の渦中を横目に机に置かれた夕飯の乗ったお盆を手に取り自室に戻る。冷え切ったご飯を前に《いただきます》と手を合わせて箸を手に取った。
「浮かない顔だな」
薄暗い室内の中で見えたのは、銀の髪から覗く翡翠の瞳だった。
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ゆらぎ(プロフ) - いえいえ、全然オーケーです!!こちらこそ採用してくださりありがとうございます! (5月5日 1時) (レス) id: 8914fbacd3 (このIDを非表示/違反報告)
九龍(プロフ) - ゆらぎさん» コメントありがとうございます!エヴァは私があまりよく知らない作品でして……申し訳ありません……。ですがシチュエーションはとても良いと思いましたので、そちらを採用させて頂きます!満足にリクエストに応えられず申し訳ありません! (5月4日 10時) (レス) id: 69e5a75295 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらぎ(プロフ) - リクエスト受理してくれてありがとうございます!またリクエストでエヴァンゲリオンってできますか?エヴァに取り込まれた主人公組とパイロットの恋人組、みたいな、、?無理を承知ですがお願いします! (5月3日 19時) (レス) id: 8914fbacd3 (このIDを非表示/違反報告)
orchid~オーキッド~ - ありがとうございます!よろしくお願いいたします! (5月1日 13時) (レス) id: 47c56abe73 (このIDを非表示/違反報告)
九龍(プロフ) - orchid~オーキッド~さん» リクエストありがとうございます!話数的に次回に回ると思いますが、書かせて頂きます! (5月1日 1時) (レス) @page50 id: c0b6840b43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2024年3月8日 21時