ようこそ、運命の人よ -2-【現パロ・璃月】 ページ19
鍾離side
「漸く会えたな、劉斗」
画面の前に座る彼の背中側から抱き締めれば、彼はビクリと身を震わせて硬直した。
手に持つそれは、いつも言っていた"こんとろーらー"と言うものだろうか?成程、それで俺を操っていたのか。
[………………は………ぇ、鍾、離………?]
「あぁ、お前の大好きな鍾離だ」
嗚呼、やっとこうして触れられたな。この世界と向こうの世界を繋ぐのは骨が折れるような苦労をかけたが、こうしてお前に触れられるなら、苦労した甲斐があったというもの。
振り返り、此方を見るお前の目と視線が噛み合った瞬間、俺は劉斗に向けて軽く仙術をかけた。
[…………ぁ…………]
瞳から光が失せ、カクリと意識を失って俺の懐に倒れ込む。そんな彼に擦り寄りつつ抱き上げれば、画面の向こうから「"せんせー?"」と声が聞こえた。
「"そっちはどう?上手くやれたかい?"」
「あぁ、すぐそちらに戻る。長居は出来ないみたいだからな」
自身の指先がぶれたようにジジ、と音を立てている。
本来相容れない世界の者だ。拒絶反応が出るのも頷ける。
「"いいなぁ、俺も直接彼に会いたかったよ"」
「此方に来れるのは1人が限界なんだ。其方にすぐ連れ戻るからそれで我慢してくれ」
「"いいよ。彼に会えるだけで俺は嬉しいからね"」
ニコリと笑う公子殿につられるように笑い返しながら、俺は画面へと手を伸ばした。
気がつけば、俺はいつもの茶屋で講談を聴いていた。だが一つ違うのは、
「へぇ、良い話じゃないか。これも劉斗先生の逸話?」
『そうらしいな』
茶を飲みながら公子殿と会話を弾ませる、俺と同じ姿の最愛が居る事だった。
「……劉斗」
呼べば彼が此方を向く。赤い瞳には岩を思わせる菱形が浮かび、不思議そうに見つめる彼の口から『何だ?』と俺の同じ声が漏れ出す。
「………いいや、何でもない」
この造られた世界の中で出会った最愛よ。俺を操りし異邦の者よ。お前は一番の幸福者だ。
お前は岩の神に愛された。こうして、この世界に俺の殻を被せ、繋ぎ止めたくなる程に。
「(二度と離すものか)」
時間の流れるあの世界でお前がいつか俺を忘れ、年老い、死にゆくなど考えただけで怖気が走る。
ならこの何も変わらぬ時の中で、俺達と共に永遠を生き続けよう。
お前はもう、俺のものだ。
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ゆらぎ(プロフ) - いえいえ、全然オーケーです!!こちらこそ採用してくださりありがとうございます! (5月5日 1時) (レス) id: 8914fbacd3 (このIDを非表示/違反報告)
九龍(プロフ) - ゆらぎさん» コメントありがとうございます!エヴァは私があまりよく知らない作品でして……申し訳ありません……。ですがシチュエーションはとても良いと思いましたので、そちらを採用させて頂きます!満足にリクエストに応えられず申し訳ありません! (5月4日 10時) (レス) id: 69e5a75295 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらぎ(プロフ) - リクエスト受理してくれてありがとうございます!またリクエストでエヴァンゲリオンってできますか?エヴァに取り込まれた主人公組とパイロットの恋人組、みたいな、、?無理を承知ですがお願いします! (5月3日 19時) (レス) id: 8914fbacd3 (このIDを非表示/違反報告)
orchid~オーキッド~ - ありがとうございます!よろしくお願いいたします! (5月1日 13時) (レス) id: 47c56abe73 (このIDを非表示/違反報告)
九龍(プロフ) - orchid~オーキッド~さん» リクエストありがとうございます!話数的に次回に回ると思いますが、書かせて頂きます! (5月1日 1時) (レス) @page50 id: c0b6840b43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2024年3月8日 21時