第四幕 -アカツキワイナリー- ページ9
ディルックside
時間は流れていく。言葉が尽きる事は無い。彼との時間は、こんなにも心穏やかで楽しい。
「そう言えば、君はどうして僕の姿になっているんだ？」
そんな時間の中でふとした疑問をぶつければ、彼は少しだけ言いにくそうに顔を歪めた。
『えっと……これは、その……自分に呪いをかけて得た姿なんだ……』
自分自身に、呪いを……？
『一部のアビスの魔物が魔術を扱えるのは知っているだろう？君が集落を攻め落としたあの日、瀕死だった僕は人間の姿だったら誰かが助けてくれると思って……自分に呪いをかけたんだ。一生解けない呪いをね』
彼はそう言って、自分の掌を見つめた。
呪い……彼はあの日、そこまでして自分の命を守ろうとしていたのか……。
『今の僕は"人に化けたアビスの魔物"と言うより、"アビスの魔物だった人間"と言った方が正しいだろう。まぁ元の姿なんて醜くて恐ろしいものだから、別に戻れなくてもいいけど』
「……本当にそう思っているのか？」
僕の声に彼が掌を見つめていた顔を上げる。紺色の瞳は、じっと僕の言葉の続きを待っていた。
「自分の姿が別のものに変わるなんて、僕は耐えられない」
自分が全くの別物へと変わってしまう。そんな事、僕だったら……。
「………！」
いや、そうか。そうだった。
彼はアビスの魔物だ。以前旅人が言っていた。アビス教団の魔物は、元々＿＿＿。
「……っ、すまない……聞いてはいけない事を聞いたね」
そうか。君は別のものに変わる恐怖を、
『謝らないでくれ』
彼は笑った。本当に気にしていないと言うように。
『誰だってこんな目に遭うとは思わないさ。君が気にする事じゃない』
「だが…っ」
『本当に気にしないでくれ。それに僕は君の姿で居る方が好きなんだ』
彼は自分の髪に触れる。藍色の髪が彼の指先で舞い踊り、シャンデリアの光を淡く反射して輝いていた。
『僕には魔物になる前の記憶も、アビスとしての使命も無い。この人の姿で居る方が、息がしやすいんだ』
……記憶が、無い……？
「君は、記憶喪失なのか……？」
『あぁ、そうみたいだ』
そうか、だから君は人に敵意を示さないのか。でも、それは……。
『(それはあまりにも、辛いだろう……っ)』
自分の事が分からないまま、ずっと過ごすなんて……。
『…そんな顔をしないでくれ』
彼はそう言って、僕と同じ顔を困ったように微笑ませた。
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九龍(プロフ) - 暁月臨さん» コメントありがとうございます！風邪をひかない内に更新しますので、服を着る準備もしてくださいねー！ (3月28日 10時) (
レス) @page38 id: 69e5a75295 (このIDを非表示/違反報告)
暁月臨(プロフ) - あ…あ…尊いです語彙力なくて申し訳ないですけど本当に好きです…(脳死)更新全裸土下座で待機させていただきます…！！！ (3月28日 4時) (レス) @page38 id: efeff932b9 (このIDを非表示/違反報告)
九龍(プロフ) - もにもちさん» これからディルックさんはどうなるのか…楽しみにして頂けると嬉しいです！フラッド君は今張り切ってますので絶好調ですね！これからも戦い続けますよー！適度に休んだりしていますのでご心配なくー！ですがお声掛けして下さりありがとうございます！ (12月23日 22時) (レス) id: 69e5a75295 (このIDを非表示/違反報告)
もにもち - いやぁ、、、ディルック様気付き始めましたねぇ、、ふふふ、、、フラッド君強すぎじゃありませんこと？もう大好きなんですけど、まじで。はい。、、、ほ、本当に大丈夫ですか？体調とか時間とか、、、理由はなにかれ、なんであれ自分の体を労ってあげてください！！ (12月23日 21時) (レス) @page26 id: 4864a15202 (このIDを非表示/違反報告)
もにもち - えめっちゃ続きが気になる〜！！神作品2個目、そして更新ありがとうございます！これからも頑張って下さい！体調には気をつけて。 (12月10日 6時) (レス) @page16 id: 4864a15202 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：九龍 -くーろん- | 作成日時：2023年12月6日 1時
