第四幕 -アカツキワイナリー- ページ6
フラッドside
今日は軽い掃き掃除をやっただけで、残りの時間はワイナリー周辺の散策をして屋敷に戻った。
慣れない地形を歩くだけでも結構な運動になるんだな…。足がパンパンだ……。
『はぁ……』
椅子に腰掛けて一息つく。時計に目をやればすっかり夕食の時間になっていた。
またアデリンが呼びに来るんだろうな。……一人の食事もどうにかしてほしいけれど、流石にそれは我儘だよな……。
『(…やっぱり、屋敷は窮屈だ…)』
少しだけ嫌になって、机に突っ伏すように伏せた。
「フラッド」
……え?
『ディ、ディルック…!?』
ど、どうして彼が此処に……っ!?
驚きで顔を上げた僕の耳に、ドア越しの彼が続けて言葉を発した。
「こんばんは。夕食が出来たから降りてくるといい。僕も一緒に食事をするけど、構わないかな?」
ディルックも一緒に…?……じゃあ今日は、一人きりじゃ、ない……?
『あ、あぁ…!先にホールに行ってくれ、僕もすぐに行くから…!』
「分かった。じゃあお先に失礼するよ」
トントンと足音が遠のいていく。彼の足音が消えた後、僕は慌てて解いていた髪を結び直して部屋を出た。
「やぁ、早かったね」
居る。本当にディルックが居る。
ホールに降りた僕の目の前には、二人分の夕食と既に席についているディルックの姿があった。
「アデリンから聞いたよ。暫くの間とは言え、一人にさせてすまなかった。本当ならもう少し早く君とこうして食事を共にしたかったのだけど、仕事が立て込んでしまって時間が取れなかったんだ」
『そうだったのか…。……』
そうか。一人きりの食事じゃ、なかったんだ……。
「フラッド……?」
『……いいや、何でもない』
席に着けば朝や昼の時とは違う料理が僕を出迎える。用意された夕食は相変わらず豪華だったけど、ディルックの食事には肉料理が多い気がした。
『(あの細身のどこに入るんだ…?)』
だいぶ量が多いけれど……見た目に似合わずよく食べるのかもしれないな。
「では頂こうか」
『あぁ』
シャンデリアが温かな光を落とす中、ホールにパチンと二人分の手を合わせる音が響いた。
「『頂きます』」
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九龍(プロフ) - 暁月臨さん» コメントありがとうございます!風邪をひかない内に更新しますので、服を着る準備もしてくださいねー! (3月28日 10時) (レス) @page38 id: 69e5a75295 (このIDを非表示/違反報告)
暁月臨(プロフ) - あ…あ…尊いです語彙力なくて申し訳ないですけど本当に好きです…(脳死)更新全裸土下座で待機させていただきます…!!! (3月28日 4時) (レス) @page38 id: efeff932b9 (このIDを非表示/違反報告)
九龍(プロフ) - もにもちさん» これからディルックさんはどうなるのか…楽しみにして頂けると嬉しいです!フラッド君は今張り切ってますので絶好調ですね!これからも戦い続けますよー!適度に休んだりしていますのでご心配なくー!ですがお声掛けして下さりありがとうございます! (12月23日 22時) (レス) id: 69e5a75295 (このIDを非表示/違反報告)
もにもち - いやぁ、、、ディルック様気付き始めましたねぇ、、ふふふ、、、フラッド君強すぎじゃありませんこと?もう大好きなんですけど、まじで。はい。、、、ほ、本当に大丈夫ですか?体調とか時間とか、、、理由はなにかれ、なんであれ自分の体を労ってあげてください!! (12月23日 21時) (レス) @page26 id: 4864a15202 (このIDを非表示/違反報告)
もにもち - えめっちゃ続きが気になる〜!!神作品2個目、そして更新ありがとうございます!これからも頑張って下さい!体調には気をつけて。 (12月10日 6時) (レス) @page16 id: 4864a15202 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2023年12月6日 1時