第六幕 -決意の明星- ページ40
フラッドside
3日の間に僕の怪我はすっかり癒えていた。体力も戻って、脇腹の痛みも今では僅かなものになった。
普通の人間だったらもっと時間がかかったと思う。この点は魔物の身で良かったと心の底から思ったよ。
勿論仕事にも復帰した。でもディルックが心配するだろうから、暫く重労働はしないつもりだ。
ベッドの上にずっと居るのは退屈なんだ。仕事をしている方が落ち着く。……仕事中毒だと言われるだろうな。
『よし、今回も良い出来だな』
今日の仕事は葡萄の収穫だ。籠いっぱいに積んだ葡萄を持って立ち上がると、温かな太陽が僕を照らしてくれた。
今日はこれを倉庫に置いて終わりにしよう。これ以上動いてたらまたディルックに心配されそうだ。
「あ、居た居た!おーい!フラッド〜!」
……!この声は……!
『旅人…!パイモン…!』
ワイナリーの入口を見れば、久しぶりに見る二人の姿があった。
「久しぶりフラッドさん」
「元気にしてたか〜?」
『あぁ。もうすっかり元気だよ』
3日ぶりだね。二人共元気そうで何よりだ。
「お見舞いに行けなくてごめん。ずっと行こうと思ってたんだけど、依頼が立て込んじゃって……」
『構わないさ。こうして会いに来てくれただけでも嬉しいよ』
苦笑する旅人に笑いかけると、彼はほっと胸を撫で下ろした。彼なりに気にしていたんだろう。
『あの時は迷惑をかけたな。僕ももっと用心するべきだった』
「そんな事…!フラッドさんはすっごく頼りになりましたよ!謝るのは俺の方です…っ」
そんな事は無い。君が弓矢を引き受けてくれたから、僕はあの暴徒に集中できたんだ。結果は……まぁ、ご覧の通りだけれど。
『ところで、君達はどうして此処に?』
「決まってるだろー!お前の様子を見に来たんだ!」
「でもフラッドさん、仕事中……なんですか?」
『ん?あぁ。葡萄の収穫だけしてしまおうと思ってね。これを倉庫に戻して終わりなんだ』
そう言って籠を見せると、突然二人が困惑と驚きと…形容し難い凄い顔になって……
「何でお前仕事してるんだよ!?安静にしてろって!!」
「俺達がやっておきますから!フラッドさんは先にホールで待ってて下さい!」
『え、でも』
「「でもじゃない!!」」
『そ、そうか……』
……ありがとう、二人共。
『ならホールで待っているよ。終わったら戻ってきてくれ』
その後は葡萄ジュースでも飲んで話そう。時間なんて気にせずにね。
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九龍(プロフ) - 暁月臨さん» コメントありがとうございます!風邪をひかない内に更新しますので、服を着る準備もしてくださいねー! (3月28日 10時) (レス) @page38 id: 69e5a75295 (このIDを非表示/違反報告)
暁月臨(プロフ) - あ…あ…尊いです語彙力なくて申し訳ないですけど本当に好きです…(脳死)更新全裸土下座で待機させていただきます…!!! (3月28日 4時) (レス) @page38 id: efeff932b9 (このIDを非表示/違反報告)
九龍(プロフ) - もにもちさん» これからディルックさんはどうなるのか…楽しみにして頂けると嬉しいです!フラッド君は今張り切ってますので絶好調ですね!これからも戦い続けますよー!適度に休んだりしていますのでご心配なくー!ですがお声掛けして下さりありがとうございます! (12月23日 22時) (レス) id: 69e5a75295 (このIDを非表示/違反報告)
もにもち - いやぁ、、、ディルック様気付き始めましたねぇ、、ふふふ、、、フラッド君強すぎじゃありませんこと?もう大好きなんですけど、まじで。はい。、、、ほ、本当に大丈夫ですか?体調とか時間とか、、、理由はなにかれ、なんであれ自分の体を労ってあげてください!! (12月23日 21時) (レス) @page26 id: 4864a15202 (このIDを非表示/違反報告)
もにもち - えめっちゃ続きが気になる〜!!神作品2個目、そして更新ありがとうございます!これからも頑張って下さい!体調には気をつけて。 (12月10日 6時) (レス) @page16 id: 4864a15202 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2023年12月6日 1時